吉川医薬経済レポート 2008年6月号[フラッシュ]
大塚製薬とUCBの提携
08年6月10日,大塚製薬とベルギーのUCBは,UCB製品Keppra(一般名:levetiracetam,坑てんかん薬)とCimzia(一般名:certolizumab pegol,クローン病治療薬)の日本国内での共同開発・販売に関する契約を締結した.
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2008/0610_01.html
http://www.ucb-group.com/media_centre/3465.aspUCBは,日本ではあまり馴染みがないので,概略を示そう.
同社は,ベルギーに本社を置く中堅総合化学企業であったが,05年に表面科学事業を,06年にバイオ・バルク製品事業をそれぞれ売却し,医療用医薬品専業企業となった.なお,06年に独Schwarzを買収している.
医療用医薬品事業では,坑ヒスタミン剤Zyrtec(一般名:cetirizine)の開発企業として知られている.UCBの業績と主要製品売上推移を掲げてみよう.
UCBの業績推移(単位:百万ユーロ)
項目 03 04 05 06 07 医療用医薬 1,463 1,674 2,043 2,177 3,188 総売上 2,966 3,268 2,532 2,551 3,626 研究開発費 270 395 511 615 788 純利益 340 361 755 367 161 07年の医療用医薬品売上3,188百万ユーロは米ドル換算(1米ドル=0.685ユーロ)すると4,654百万米ドルであり,Nycomedにほぼ並ぶ欧州における中堅企業ということができる.
UCBの主要製品売上推移(単位:百万ユーロ)
製品 薬効 03 04 05 06 07 Keppra(levetiracetam) てんかん 314 417 560 761 1,026 Zyrtec/Xyzal/Cirrus(cetirizine) アレルギー 670 544 562 561 487 Zyrtecの特許失効に伴う売上漸減をラクタム系の新しい坑てんかん薬Keppraによってカバーするという構図である.
開発の重点領域は,中枢神経系,炎症,癌の3領域である.中枢神経系は低分子化合物,炎症と癌は抗体医薬による開発を進めている.
Keppraは,00年に欧米で上市済みであり,日本ではP-3段階にある.Cimziaはクローン病で08年に米国で承認,欧州で申請中,日本でP-2である.Cimziaの関節リウマチへの効能追加は,米国で申請中,欧州でP-3である.
UCBは,少数の特徴のある新薬を開発し,グローバル展開をはかるという,まさにグローバル・ニッチのビジネス・モデルの好例であり,日本企業も学ぶべきところがあると思う.
大塚には,両品目の導入による国内向けポートフォリオの充実と,Cimziaの関節リウマチへの効能追加による市場拡大とが期待されよう.
また,これを契機として,UCBの国内における存在感の増大が進むであろう.今後,大塚の欧州市場対策の一環としても,今回の提携が端緒となって,何らかの役割を果たすかも知れない.
今後の推移を見守りたい.
(2008.06.16.執筆YPC)
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