小説「逆GENJI物語」イントロ 高田裕 一著(11)





躓き


「ない!」
ヒカルの目に涙がジワーッと滲み出して、視界を 曇らせます。両手の甲で拭っても拭っても溢れ出 る涙を拭い去ることはできません。
「ない!」
今日は東都芸大の合格発表の日です。先ほどから 張り出された受験番号を何度も何度も確認してい るのですが、やっぱり自分の番号が抜けているの です。

茫然自失の状態から、
「どうして芸高を受けなかったんだ。ピアノの先 生があんなに勧めてくれたのに」
と、後悔の念が沸き起こり、荒れ狂う嵐の頂点へ と達します。


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