2008年7月7日号

毎週月曜日発行第338号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
暑苦しい日が続きますね〜。胃腸疾患が増えています。この時期体調管理が難しいですね。
CONTENTS

症例検討
Dr.UGAの気になる文献
Dr.HAGIの気になる文献
Dr.Kの気になる文献
Dr.TADOの気になる文献
Dr.Kawanoの気になる文献
Dr.Satoの気になる文献
はみだし文献訳
リーダーシップ
掲示板から
Dr.Xのひとこと

症例検討

皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。

Dr.UGAの気になる文献

おやすみ

Dr.HAGIの気になる文献

■犬における腫瘤性間質パターンの鮮鋭度に対する2方向と3方向の胸部X線写真の比較
Comparison of two- vs. three-view thoracic radiographic studies on conspicuity of structured interstitial patterns in dogs.
Vet Radiol Ultrasound. 2006 Oct-Nov;47(6):542-5.
Ober CP, Barber D.

3方向の胸部X線撮影はしばしば肺転移の動物を評価するために使用される。3方向は2方向より巣状性肺病変をより繊細に検出できると報告されているが、時間および手間が増し、動物と撮影者の被ばく量が増加する。この研究では2方向と3方向のX線撮影における病変の検出を比較することにより診断が変わるか検討した。犬の胸部の100例の3方向のX線写真を無作為に抽出し、右ラテラルとVD像、左ラテラルとVD像、左右ラテラル像、3方向という4つの評価方法で再検討した。腫瘤性間質性肺病変の有無を読影し、視覚的アナログ尺度を用いて記録を行った。
2方向群と3方向群間には85〜88%の一致がみられ、κ統計値は0.698 から0.758であった。診断の確実性には差異はみられなかったものの、各々の群の中で陰性と診断されるより陽性と診断された方がより確実性があった。3方向写真から1方向を減らしたときには、12〜15%において診断が変わることから、肺転移を含む腫瘤性間質性肺病変の可能性がある症例を評価する時に3方向で撮影し続けるべきだということが示唆される。(Dr.HAGI訳)

腫瘍系文献

■2頭の若い猫に見られたヒト乳頭状汗管嚢胞腺腫に似た感染過誤腫
Sweat gland hamartoma resembling human syringocystadenoma papilliferum in two young cats
Vet Dermatol. December 2007;18(6):451-5.
Marianne Helene Heimann, Placide Ngendahayo

乳頭状汗管嚢胞腺腫、大部分は感染の過誤腫だけでなく毛包漏斗部構成部分も2頭の若い猫の体幹や頭部で述べられている。臨床的に病変は、不正だがはっきりと区別される境界があり、荒く色素沈着過度な表面を特徴とする皮膚のプラークだった。1例は完全な外科切除で治癒した。組織学的にその病変は、表在真皮に限られ、増殖性汗腺の合体ユニットから成っていた。増殖は管状または乳頭状で、拡張肥大した毛包漏斗部または無毛部内に開口する胎児表皮であるかもしれない。上皮の3タイプに漏斗部、管、分泌上皮を伴う毛包-汗腺の繰り返される形成が観察された。その腺はアルファサイトケラチン8に陽性に反応し、プラズマ細胞、リンパ球、好中球浸潤を伴う繊維組織により支持された。ヒトと同様、この病変は、過誤腫-神経-タイプカテゴリー内に分類されるかもしれない。(Sato訳)

Dr.kawanoの気になる文献

■難治性特発性てんかんの11頭の犬に対するガバペンチンの治療
Vet Rec. 2006 Dec 23-30;159(26):881-4.
Treatment with gabapentin of 11 dogs with refractory idiopathic epilepsy.
Platt SR, Adams V, Garosi LS, Abramson CJ, Penderis J, De Stefani A, Matiasek L.

難治性特発性てんかんと診断した11頭の犬に対し、ガバペンチンを経口的に 初期用量10 mg/kg 8時間毎で最低3ヶ月治療した。すべて全身性強直間代性痙攣の発症を経験し、明らかな副作用がない治療的な血清濃度に達するために十分な用量でフェノバールと臭化カリウムを併用し、長期的に治療してきた。それぞれの犬において、ガバペンチンで治療する3ヶ月前と後で1週間当りの発作回数、発作の平均時間そして発作が起こった日数を比較した。1週間当りの発作回数において最低50%の減少がガバペンチンに対する陽性反応と解釈すると、6頭の犬が陽性反応を示した。更なるガバペンチンの投与後に、1週間当りの発作回数(P= 0.005)と1週間当りの発作が起こる日数(P=0.03)は明らかに減少した。運動失調や鎮静という軽度の副作用が5頭の犬で観察されたが、試験中に中止しなければならないほどの重度ではなかった。(Dr.Kawano訳)

Dr.Satoの気になる文献

■犬心疾患の調査における異なるナトリウム利尿ペプチドの診断精度
The diagnostic accuracy of different natriuretic peptides in the investigation of canine cardiac disease
J Small Anim Pract. January 2008;49(1):26-32.
A Boswood, J Dukes-McEwan, J Loureiro, R A James, M Martin, M Stafford-Johnson, P Smith, C Little, S Attree

目的:我々の目的は、心疾患の犬と呼吸器疾患の犬を識別するのに、犬N末端pro-B-typeナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)に対する新しいサンドイッチELISAの正確性を判定、確認することと、NT-proBNP濃度を狂わせる変動値の影響を判定することだった。

方法:新しい分析法の確認研究を行った。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)血漿および血清で、N末端心房性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proANP)およびNT-proBNPの濃度を、検査所で患者の臨床状況を隠した状態の犬77頭のサンプルで評価した。各サンプルタイプおよびテストの診断精度は、受信者操作特性曲線を用いて評価した。年齢、性別、腎機能の指標の影響を多変量回帰分析で評価した。

結果:血清および血漿NT-proBNP濃度は、最適カットオフ濃度210pmol/lで呼吸疾患と心疾患の犬を正確に区別できた。NT-proBNP濃度はサンプルタイプに影響されなかった。クレアチニン濃度の上昇は、NT-proBNP濃度の上昇に関与した。この集団でナトリウム利尿ペプチド濃度に年齢および性別による有意な影響は認められなかった。

臨床意義:犬NT-proBNPは明らかに心疾患の存在を示す有効なマーカーであるが、濃度は犬の腎機能を考慮して解釈すべきである。(Sato訳)

動物もいろいろなマーカーが使用可能になってきていますね。

はみだし文献訳

■骨軟骨症の病因および病原
Etiology and pathogenesis of osteochondrosis
Vet Pathol. July 2007;44(4):429-48. 137 Refs
B Ytrehus, C S Carlson, S Ekman

骨軟骨症はヒトおよび多くの動物種、特にブタ、ウマ、犬で発生する一般的で臨床的に重要な関節障害である。この障害は、軟骨内骨形成の限局的障害と定義され、その疾患の全ての面で単一因子が占めることはない多因子性病因を持つと考えられる。最も一般的に言われる病因は、遺伝、急速な成長、解剖学的立体配座、外傷、食餌のアンバランスであるが、遺伝と解剖学的配座だけは科学的文献により十分支持されている。この疾患の始まり方は議論されている。脆弱軟骨の組成、軟骨細胞分化不全、肋軟骨下骨壊死、成長軟骨への血液供給不全、すべて病原で最初のステップとして提唱されているが、最近の文献は最もありえることとして成長軟骨への血液供給不全を強く支持している。骨軟骨症という言葉は、異なる種の中で広い範囲の異なる病変を述べるのに使用されている。
我々は、この用語の改善点にmodifiers latens(骨端軟骨に限られた病変)、manifesta(軟骨内骨形成で遅延により付随する病変)、dissecans(関節軟骨中の裂形成)を含めることを提唱する。
この概説の目的は、この明らかに複雑な疾患をより理解するため、この疾患の概要、最も一般に言われる理論に焦点を当て、最近の研究所見、骨軟骨症の病因と病原に関する我々独自の観点を提供するものである。(Sato訳)

破傷風

■破傷風菌感染の合併症として1頭のボーダーコリーに見られた寛骨大腿脱臼
Coxofemoral luxation in a border collie as a complication of a Clostridium tetani infection
J Small Anim Pract. November 2007;0(0):.
M A Goldhammer, P S Chapman, J M Grierson

4ヶ月齢未去勢オスのボーダーコリーが、2日前からの筋肉痙攣および”痙笑”でQueen Mother動物病院に来院した。破傷風を診断し、破傷風抗毒素、抗生物質および支持療法で治療した。破傷風の合併症で股関節脱臼が起こり、大腿骨頭頸切除を行い管理に成功した。これは犬における破傷風菌感染に関与した関節脱臼の最初の報告である。(Sato訳)

掲示板は http://6829.teacup.com/vmagazine/bbs

破傷風トキソイド 投稿者:でらしね さま
皆さんにお尋ねします。
犬や猫に人が咬まれて病院へ行くと、「破傷風の予防が必要」と言うことで注射されたという話をよく聞きますが、この治療はそんなに必要なものなのでしょうか?
抗生物質の処方だけでは不十分なのでしょうか?
ご意見をお持ちの方、よろしくお願いします。

ノイロトロピンの薬用量について 投稿者:ディー さま

最近お騒がせのノイロトロピンですが、犬・猫での薬用量をご存知の方いらっしゃいませんか?経口でも注射でもかまいません。


●第337号の文献の訂正

■犬の肥満細胞腫におけるメシル酸イマチニブによるチロシンキナーゼ抑制効果
Effect of Tyrosine Kinase Inhibition by Imatinib Mesylate on Mast Cell Tumors in Dogs.
J Vet Intern Med. 2008 Jun 18.
Isotani M, Ishida N, Tominaga M, Tamura K, Yagihara H, Ochi S, Kato R, Kobayashi T, Fujita M, Fujino Y, Setoguchi A, Ono K, Washizu T, Bonkobara M.

背景:メシル酸イマチニブは制御不全となった蛋白質であるチロシンキナーゼを標的とした低分子製剤である。
KITの恒常化したリン酸化反応を誘導するc-kit(内)のエクソン11の変異は、犬において肥満細胞腫を発症させたり、進行させたりする機構のひとつである。この研究の目的は犬の肥満細胞腫に対し、メシル酸イマチニブが治療薬になる可能性があるかを調べることにある。

仮説:メシル酸イマチニブは犬の肥満細胞腫に対して活性を持っており、治療反応はc-kitのエクソン11での変異の発現と相関性がみられる。

動物:肉眼的な病変を持つ肥満細胞腫21症例で、治療前の平均腫瘍サイズは7.2cm(範囲:1.0-25.3cm)であった。

方法:腫瘍はc-kitのエクソン11の変異について分析した。メシル酸イマチニブは1-9週間、連日10 mg/kgの用量で経口投与された。

結果:21症例中10症例(48%)で治療開始から14日以内にメシル酸イマチニブによる有益な治療反応があらわれた。c-kitのエクソン11における変異が証明できた5症例犬全てが薬に反応した(1症例が完全寛解、4症例が部分寛解)。

結論と臨床関連:メシル酸イマチニブは犬の肥満細胞腫に対して臨床的効果をあらわした。c-kitのエクソン11の変異がみられないものにおける反応は予測できなかった。(Dr.UGA訳)

●Dr.Xの今週のひとこと

JAHAのセミナーでの小ネタをもう一つ.局所麻酔薬のBupivacainですが一般的に作用時間は6〜8時間と言われています.しかし,イヌの個体によっては12時間から最大24時間くらい作用が残ることもあるようです.骨折の手術等により局所麻酔薬を使った場合,術後に運動神経の麻痺で機能障害が出た場合でも,焦らず回復時間を空けることで回復することがよくあるそうです.骨折の手術に局所麻酔薬を使っている先生はご注意下さい.

ご意見ご要望、Q&A、お待ちしております。特集を組んだりもいたしますので、テーマも募集しています。
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【発行者】 Sato
訳者:編集委員 Dr.K Dr.Kawano 圓尾拓也 Dr.UGA Dr.HAGI Dr.TADO

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