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2008年7月1日発行 |
1ランク上の保険と資産運用の話(第136号) |
インベストメントハードラー陸上の為末選手が書いた本。何が書いてあるか少し覗いてみよう。そんな気持ちで購入した本でしたが、下手なFPが書くより、ずっとわかりやすく投資について書かれていたと思います。特に好感が持ているのは、『私はこうして大もうけした』方式の話になっていないこと。為末さんが何を考えてどういう行動を採ったのかが書いてあること。 |
3つに分けて人生がうまくいくイギリスの習慣イギリスのことが書いてある本と考えずに、頭がリラックスできる本と思って読むと、「す〜と」心に落ち込んできます、この本は。難しいことを考えずに、どんどん読み進めていけば何かリラックスできるそんな本でした。タイトルになっている、「3」という数字もそれほどこだわることはないでしょう。 自分を複数の方法で表現できるようにしたほうが、… |
最悪を想定しておく
最近の市況動向を確認しよう
図1 昨今の欧米市場を取り巻く環境
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6月末に公表された米国の5月の可処分所得は5.7%も跳ね上がりました。これは、米国の賃金が急上昇したわけではなく、ブッシュ政権が減税を行って税金還付を行ったためです。そういえば、日本でもバブル崩壊後の経済低迷期にクーポン券を家庭に配布したことがありましたが、同じような話です。
そのせいもあって、米国の小売業界の業績は、エネルギー価格の高騰にもかかわらずそれほど悪いものになっていません。個人消費は案外堅調というのが米国経済の現状です。
住宅問題と金融市場の混乱は継続しています。全米リアルター協会が公表している中古住宅統計を見ると、中古住宅の販売価格は下げ止まっていますが、販売戸数は依然として低迷を続けています。さらに、金融市場では、金融機関のアナリストが他の金融機関の推奨程度の引き下げ合戦を行っています。さすがに自社の株を売り推奨にすることはできないのでしょうが、大西洋を挟んで値引き合戦になっています。
その背景にあるのは、モーゲージ関連証券のより一層の資産切り下げの見込みです。シティグループやUBSなど大手金融機関についてのみならず、米国の地方銀行の株価も低迷しています。
一方、ユーロ圏では中央銀行である、ヨーロッパ中央銀行が難しい舵取りを迫られています。本文執筆時点で、ECBは次回の政策会合(7月)で0.25%金利を引き上げると見られていますが、その一方で、商品・エネルギー価格の高騰により消費者センチメントは低下しています。無理に金利を引き上げるとさらに景気を悪化させることになります。
ECBではトリシェ総裁が、賃金を安易に引き上げてしまうとインフレをさらに進めてしまうという話をしますが、スペインではまさにそういった状態になっています。スペインやギリシャなどの南部地域とドイツ・フランスといった北部地域の間に若干の温度差が存在するのは事実です。インフレを抑制するために金利を引き上げてしまってた結果、経済にブレーキがかかることが最も懸念される話です。
金利については数年間かけて米国とユーロ圏の金利は、おおむね同水準になると考えられています。6月末時点で、米国の政策金利が2.0%、ユーロ圏のそれは4.0%ですから、米国は金利引き上げ、欧州は金利引き下げに向かうと考えられています。
ユーロ圏では7月に金利引き上げと説明しましたが、金利を一度引き上げて、その後引き下げると見られているのです。
最悪のシナリオを考えておこう
さて、ここまで書いてきた話は、報道などで報じられている話です。どちらかといえば、楽観的な予測に基づいています。経済は減速するだろうが、各国は何とかそれを乗り切るであろうという筋書きです。そして、これに悲観的な波紋を投げかける要因は、高騰している商品・エネルギー価格の問題になると思われます。これ以上価格が上昇して、世界の誰もが恩恵を受けることがなくなれば、価格は下がるでしょう。最も、都合のよい市場の調整は、市場から投機的な資金のみがなくなること。その場合、痛手を被るのは商品先物の投機筋だけということになります。
最も悲惨な調整は、商品・エネルギー価格の下落と新興国の景気停滞が同時に起こることでしょう。この場合は、商品先物市場のみならず、株式市場も影響を受けます。現在では、新興国市場の株式市場の軟化は、時をおかずに、先進国の株式市場に伝播します。新興国はかつてような製造拠点としての位置づけから、消費拠点としての性格も併せ持った重要な市場になってきているからです。
商品先物と株式の価格が世界的に大きく調整を受けた場合、為替はどのようになるでしょうか?予想するのは非常に難しいと思いますが、ここ数年の傾向は、景気が悪くなると円高になるというものです。その理由は、景気がよいとき、世界の投資家は円やスイスフランなどの低い金利の通貨で資金を調達し、その円やスイスフランを投資する国の通貨に換えて使うということをしています。いわゆるキャリートレードです。ただし、こういった資金、景気が悪くなると借りていたお金を返済する(負債を減らす)ことになります。円を用意して返済に充てる必要がありますから円高になるのです。
ちなみに日本の投資家が、高金利を目的として海外の債券に投資することが流行っていますが、これも一種のキャリートレードです。市場が好調なときに投資すると円安のときに投資して、市場が悪化したときあわてて売却すると円高のときに売却することになるかもしれません。
おそらくそういった投資家の最良の選択肢は、新興国の国債や高イールド債でないのであれば、そのまま外国債券を保有し続けることです。なぜなら、株式市場と商品先物市場が軟化したときに、最後に残るのは国債市場だからです。いわゆる質への逃避です。残念ながら、新興国の国債や高イールド債は株式や商品先物とともに値崩れを起こすでしょう。
投資家が経済の専門家になる必要はないかもしれませんが、経済の向かっている方向を見極め、最悪のことがおきたときどうするのかをシミュレーションしておくことはとても大切なことだと思います。
図2 あわてて売却しない
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編集後記
この1ヶ月、キャッシュフロー表の作成に明け暮れていました。一般の方向けのFP講座ではキャッシュフロー表の作成の仕方を説明し、FPの集まりでは、キャッシュフロー表の意味を議論してもらう。
ところで、キャッシュフロー表とは、ファイナンシャルプランニングを考えるとき使用する道具です。これから先、数十年にわたる出来事が一つの表にまとまったものです。書いてある値はキャッシュフロー、つまりお金です。自分たちのこれから数十年間の人生を、お金を軸に追いかける表と考えるのが一番正しい表現ではないでしょうか。
実は私も、「数十年も先の話を現時点でわかるわけがない。だからキャッシュフロー表って無意味だ」と思っていました。でも、考えてみると、キャッシュフロー表って企業分析の表と全く同じなのですね。そう、企業分析をするときも数十年先の話なんてわかりません。でも、株価はつけられていますよね。
結局、キャッシュフロー表も株価も理解の仕方が大切なのだと思います。不確実なことが潜んでいる。だから何とかしてその不確実性を知りたい。リスクを認識しておくとはそういうことだと思います。
バームスコーポレーション 杉山
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