毎週月曜日発行第337号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kの気になる文献
●Dr.TADOの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●リーダーシップ
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.UGAの気になる文献
■犬の肥満細胞腫におけるメシル酸イマニチブによるチロシンキナーゼ抑制効果
Effect of Tyrosine Kinase Inhibition by Imatinib Mesylate on Mast Cell Tumors in Dogs.
J Vet Intern Med. 2008 Jun 18.
Isotani M, Ishida N, Tominaga M, Tamura K, Yagihara H, Ochi S, Kato R,
Kobayashi T, Fujita M, Fujino Y, Setoguchi A, Ono K, Washizu T, Bonkobara
M.
背景:メシル酸イマチニブは変異蛋白質として発現したチロシンキナーゼを標的とした低分子物質である。リン酸化されたKITによって誘導されるエクソン11番のc-kitの変異は、犬の肥満細胞腫を発症させたり、進行させたりする機構のひとつである。この研究の目的は犬の肥満細胞腫に対し、メシル酸イマチニブが治療薬になる可能性があるかを調べることにある。
仮説:メシル酸イマチニブは犬の肥満細胞腫に対して活性を持っており、治療反応はc-kitのエクソン11番での変異の発現と相関性がみられる。
動物:肉眼的な病変を持つ肥満細胞腫21症例で、治療前の平均腫瘍サイズは7.2cm(範囲:1.0-25.3cm)であった。
方法:腫瘍はエクソン11番のc-kitの変異について分析した。メシル酸イマチニブは1-9週間、連日10 mg/kgの用量で経口投与された。
結果:21症例中10症例(48%)で治療開始から14日以内にメシル酸イマチニブによる有益な治療反応があらわれた。明らかなエクソン11番のc-kitの変異があらわれた5症例全てが薬に反応した(1症例がCR,4症例がPR)。
結論と臨床関連:メシル酸イマチニブは犬の肥満細胞腫に対して臨床的効果をあらわした。c-kitのエクソン11番の変異がみられないものにおける反応は予測できなかった。(Dr.UGA訳)
●Dr.HAGIの気になる文献
おやすみ
●腫瘍系文献
■保険に加入している400000頭のスウェーデンの犬における10歳までの骨腫瘍:発生率と生存率
Bone tumors in a population of 400 000 insured Swedish dogs up to 10 y of age: incidence and survival
Can J Vet Res. October 2007;71(4):292-9.
Agneta Egenvall, Ane Nodtvedt, Henrik von Euler
この研究の目的は、種類、性別、居住地域による犬骨腫瘍の発生率、診断までの生存率、診断後の生存率を述べることだった。1995年から2002年の間にスウェーデンの保険会社に加入した10歳以下の犬を研究した。合計764頭の犬が骨腫瘍の請求を行い、発生率は5.5頭/10000頭リスク犬年(DYAR)だった。6歳、8歳、10歳時の骨腫瘍の犬の比率は、それぞれ0.13%、0.30%、0.64%だった。リスクがある上位3犬種は、アイリッシュウルフハウンド、セントバーナード、レオンバーグだった(発生率それぞれ99、78、53頭/10000頭DYAR)。診断後の生存期間中央値は、1日以上生存した419頭の犬において56日だった。犬種、年齢、メスをコントロールしたCox回帰モデルは、骨腫瘍リスクの低下を示し、危険率0.71(99%信頼区間0.58-0.87)だった。(Sato訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■犬の皮内反応におけるアレルゲンの閾値濃度の決定と2つの異なるヒスタミン濃度の評価
Determination of threshold concentrations of allergens and evaluation of two different histamine concentrations in canine intradermal testing.
Vet Dermatol. 2004 Oct;15(5):304-8.
Hensel P, Austel M, Medleau L, Zhao Y, Vidyashankar A.
この研究の目的は、犬の皮内反応における最適なヒスタミン濃度とアレルゲンの閾値濃度を決定することだった。30頭の健常犬を、ヒスタミンの2つの異なる濃度と、それぞれのアレルゲンの4つの異なる濃度で検査した。最適なヒスタミンの濃度は1:10 000 w/vで決定した。1:500 w/vだったノミを除いて、イネ科、草、樹木、カビそして昆虫の全てで閾値濃度は少なくとも1750 PNU/mLだった。Dermatophagoides farinae とTyrophagus putrescentiaeは 100 PNU/mLだったが、Dermatophagoides pteronyssinusでは、最適な閾値濃度は250 PNU/mLだった。ヒトのフケを除く全ての上皮の閾値濃度は少なくとも1250 PNU/mLだった。ヒトのフケの最適閾値濃度は300 PNU/mLだった。我々の結果では、現在のヒスタミン濃度の1:100 000 w/vとほとんどのイネ科、草、樹木、カビ、上皮そして昆虫に使用している1000 PNU/mLは犬の皮内反応には不適切かもしれない。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■犬の皮毛の犬回虫卵汚染
Contamination of dog hair with eggs of Toxocara canis
Vet Parasitol. March 2008;152(1-2):85-93.
Gillian Roddie, Peter Stafford, Celia Holland, Alan Wolfe
犬や狐の一般的な腸管線虫の犬回虫は、人のトキソカラ症の原因寄生虫である。最近は犬が犬自身の毛に寄生虫の卵を忍ばせているかもしれないと示されている。 この主張をさらに調査するため、腸内の成熟した回虫感染と皮毛中に忍ばせている虫卵の罹患率と程度を確立するのに野良犬100匹の集団で検査した。皮毛から虫卵を洗い出す新しい方法を使用した。67%の犬が犬回虫卵を皮毛に忍ばせていることがわかり、陽性犬から平均約584個/gの虫卵が回収された。犬の年齢は虫卵の罹患率および程度に影響する唯一の有意な因子だとわかり、全ての虫卵の95%は子犬から回収された。39%の犬の腸に犬回虫が見つかったが、成犬(22.5%)よりも子犬(80%)において有意に高い比率で感染していた。また、子犬は成犬よりも1感染あたりの虫体数が多く、成犬では見られない虫卵と虫体数の強い陽の相関があった。それらの研究は、野良犬、特に子犬で土壌または一般環境で報告されるものよりもかなり高密度で皮毛にかなりの虫卵を潜ませている可能性を示す。(Sato訳)
子犬を触った手は必ず洗ったほうがいいですね
●はみだし文献訳
■重篤患者のマグネシウム障害
Magnesium Disturbances in Critically Ill Patients
Compend Contin Educ Pract Vet. July 2007;29(7):420-427. 36 Refs
Yonaira E. Cortes, DVM, Lisa Moses, VMD, DACVIM
マグネシウム変化は、神経筋、心血管、代謝系に顕著な影響を及ぼす可能性がある。医療現場での臨床検査の最近の進歩で、救命救急現場における血清マグネシウム濃度の変化をモニター、治療の実行が現在容易になっている。この文献は、重篤患者で正常な恒常性メカニズム、臨床的異常、マグネシウム障害の治療戦略を概説する。(Sato訳)
●リーダーシップ
■犬の訓練における優位v.s.リーダーシップ
Dominance Versus Leadership in Dog Training
Compend Contin Educ Pract Vet. July 2007;29(7):414-417;432. 8 Refs
Sophia Yin, DVM, MS
犬における分離不安、恐怖による攻撃または一般的に手に負えない行動を治療するかどうか、実質的に全ての獣医行動主義者、応用動物行動主義者、ドッグトレーナーは、より良い行動への解決は、オーナーに予測可能及び本質的に信頼される、良いリーダーになるよう教育することに賛成する。しかし、リーダーになることを学ぶことは、オーナーが犬より優位に立つべきということか?2、30年前、野生の狼の習性に関する社会的優位性理論と考えに犬訓練法が誘導され、野生の狼は力を通し高いランクに位置づけられるため、チョークチェーン、ピンチカラー、電気首輪の使用で悪い行動にひどい目を合わせることに焦点が当てられた。それから、ウルフの行動に関連する犬の行動の理解がより明らかになり、学習の科学はなぜ動物がそのように行動するのか、どのように行動が修正できるのかということの我々の理解を改善している。
この文献は、優位性理論と誤った考えに関する所、優位性の定義をもとに伝統的な訓練法を論じ、なぜ犬の行動は狼の習性または動物の優位性モデルをもとにすべきかという説明、リーダーシップと優位性の違いを明らかにし、非対面法を使用しどのようにリーダーシップを発揮するか(攻撃性のある犬でさえ)を示す。(Sato訳)
●掲示板は http://6829.teacup.com/vmagazine/bbs
ノイロトロピンの薬用量について 投稿者:ディー さま
最近お騒がせのノイロトロピンですが、犬・猫での薬用量をご存知の方いらっしゃいませんか?経口でも注射でもかまいません。
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●Dr.Xの今週のひとこと
最近になって比較的体重の大きなラブラドールが減ってきたように思います.一時の流行から早10年たったという事でしょうか.時の移り変わりは早いものですね-.チワワとかティーカッププードルの流行から10年後どんな世の中になっているのでしょうか.動物にとっても人間にとっても良い世の中になっていることをせつに思います.(ジジくさくなってしまいました.)
★ご意見ご要望、Q&A、お待ちしております。特集を組んだりもいたしますので、テーマも募集しています。
≪掲示板を設置したので、そちらに書き込んでもらってもかまいません(^o^)丿≫
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