2008年6月2日号

毎週月曜日発行第333号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
久しぶりに天気が良かったので、バイクに乗ってきました。あまり乗っていなかったので、「乗れてない」って実感しました。案の定数日間筋肉痛になり、運動不足が露呈してしまいました。運動しないと・・・
CONTENTS

症例検討
Dr.UGAの気になる文献
Dr.HAGIの気になる文献
Dr.Kの気になる文献
Dr.TADOの気になる文献
Dr.Kawanoの気になる文献
Dr.Satoの気になる文献
はみだし文献訳
睡眠発作
掲示板から
Dr.Xのひとこと

症例検討

皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。

Dr.UGAの気になる文献

■猫における2種類のドキソルビシン投与における副作用の比較
A comparison of toxicity of two dosing schemes for doxorubicin in the cat.
J Feline Med Surg. 2008 Apr 21. [Epub ahead of print]
Reiman RA, Mauldin GE, Neal Mauldin G.

ドキソルビシンは人や猫の双方の様々な腫瘍において一般的に使用され、効果的である。しかしながら、猫におけるこの薬剤の使用には腎毒性、骨髄抑制、食欲不振、体重減少など様々な副作用を伴う。この研究の目的は腫瘍を持つ猫に対してドキソルビシンの投与量を2種類とし、それぞれの毒性を比較することであった。
ドキソルビシンをグループAの猫は1mg/kg、グループBの猫は25mg/m2で投与すると共に22ml/kgの乳酸加リンゲルを皮下点滴した。副作用は検査データ、身体検査、ヒストリーを数値によりグレード化して両グループを比較した。
全ての症例が同時期にCBCを行っていないという問題はあるものの、好中球数がグループBの猫で有意に低くなっていた(P</=0.001)。臨床的な異常もしくは検査値の異常における種類、頻度、重症度についてグループ間で有意差は認められず、どちらのグループ間でも敗血症も認められなかった。
本研究の結果より、猫にドキソルビシンをより高用量で投与しても副作用のリスクの増大と関連が無いかもしれない。更なる研究により猫におけるドキソルビシンの最適な用量を決定する必要性が示唆された。(Dr.UGA訳)

Dr.HAGIの気になる文献

■犬上皮向性皮膚型リンパ腫に対するロムスチン(CCNU)の反応:46症例の回顧的研究(1999年〜2004年)
Response of canine cutaneous epitheliotropic lymphoma to lomustine (CCNU): a retrospective study of 46 cases (1999-2004).
J Vet Intern Med. 2006;20(6):1389-97.
Risbon RE, de Lorimier LP, Skorupski K, Burgess KE, Bergman PJ, Carreras J, Hahn K, Leblanc A, Turek M, Impellizeri J, Fred R 3rd, Wojcieszyn JW, Drobatz K, Clifford CA.

背景:上皮向性リンパ腫(ELSA)は犬において珍しい皮膚の悪性T細胞性リンパ腫である。スタンダードな治療法に関してコンセンサスは得られておらず、犬の多中心型リンパ腫に対して伝統的に用いられている化学療法剤によりELSAの治療評価が行なわれている。

仮説:この多施設の回顧的研究の目的は、ELSAの治療における1-(2-chloroethyl)-3-cyclohexyl-l-nitrosourea (CCNU)の効果を評価することである。

動物:十分な追跡調査をし、治療反応の情報がある46例の犬。

方法:全ての症例で、組織病理学的に診断された。免疫組織化学(CD3, CD79a)は46例中42例のサンプルで行われた。

結果:全身の鱗屑を含む皮膚病変(25/46)、プラークまたは小結節(22/46)、粘膜皮膚病変(14/ 46)、角膜への浸潤(1/46)がみられた。リンパ節浸潤は7例で、セザリー症候群は2例で証明された。CCNU療法の回数の中央値は4回(範囲は1〜11回)、初期用量中央値は60 mg/m2(範囲は30〜95)であった。46例中、15例はCR、23例はPR、5例はSD、3例はPDであり、全体的な反応率は83%であった。反応がみられる治療回数の中央値は1回(範囲は1〜6回)であった。全体的な中央反応期間は94日(範囲は22〜282回)であった。好中球減少症(10/46)、血小板減少症(1/46)、貧血(1/46)、肝酵素の上昇(3/46)、詳細不明の理由(1/46)のため、16例が用量を減らす必要があった。

結論と臨床的重要性:高い反応率でよく耐えるプロトコルであり、ELSAの治療におけるCCNU単独又は多剤併用プロトコルの有用性を調査するために前向き研究が必要である。(Dr.HAGI訳)


腫瘍系文献

■鼻部および鼻咽頭リンパ腫の猫:50症例(1989-2005)
Nasal and nasopharyngeal lymphoma in cats: 50 cases (1989-2005)
Vet Pathol. November 2007;44(6):885-92.
L Little, R Patel, M Goldschmidt

猫の鼻腔腫瘍でリンパ腫は最も一般的であるが、この腫瘍の解剖学的、免疫組織学的、細胞学的特徴を特に扱った報告はほとんどない。50頭の猫を検死時にバイオプシーあるいは細胞診単独でリンパ腫と診断した。10頭の猫に複数臓器関与を認め、それらのうち2頭はそれぞれ小脳および前頭皮質に限局していた。腫瘍は、50頭中41頭(82%)は鼻部リンパ腫、5頭(10%)は鼻咽頭リンパ腫に分類され、4頭(8%)はその両方の組織が関与していた。組織学的に全て瀰漫性リンパ球様腫瘍と考えられ、濾胞リンパ腫の特徴を示した猫はいなかった。
病理学者によるスライド審査を得られた44例中40例(91%)は免疫芽細胞リンパ腫、2例(5%)は瀰漫性大細胞、1例は瀰漫性混合と分類され、1例は分類できなかった。免疫組織化学染色を行った45頭中32頭はCD79aに均一に陽性、7頭はCD3に均一に陽性、6頭はCD79aとCD3細胞の混合だった。上皮向性は評価に十分な上皮の提示があった5頭中4頭(80%)で見られた。それら4頭中3頭はB細胞、1頭は顆粒T細胞リンパ腫だった。21頭で鼻部細胞診を行い、15頭はリンパ腫と細胞学的に診断された。残りの5頭の診断は、炎症(n=4)、正常なリンパ組織(n=1)、あるいは診断されなかった(n=1)。一般的な生化学の異常は、26/46(57%)の猫で汎高蛋白血症、11/46(24%)の猫で低コレステロール血症だった。(Sato訳)

Dr.kawanoの気になる文献

■犬の自然発症性副腎皮質機能亢進症における1日2回経口投与による低用量トリロスタン療法の評価
Evaluation of twice-daily, low-dose trilostane treatment administered orally in dogs with naturally occurring hyperadrenocorticism.
J Am Vet Med Assoc. 2008 May 1;232(9):1321-8.
Vaughan MA, Feldman EC, Hoar BR, Nelson RW.

目的: 自然発症性副腎皮質機能亢進症(NOH)の犬において、低用量トリロスタン療法の1日2回の経口投与の効果を評価し、1日1回のトリロスタン投与後の効果の持続時間を評価した。

計画: 前向き研究

動物: 自然発症性副腎皮質機能亢進症の犬28頭

方法: 22頭の犬に最初は12時間毎に0.5〜2.5 mg/kgのトリロスタンを経口的に投与した。間隔をおいて犬を再評価した:治療の反応に対する飼い主の判定を記録した。薬の効果持続時間を評価するため、22頭中16頭とさらなる6頭の犬はトリロスタンの1日1回投与後の3-4時間と8-9時間で2回のACTH刺激試験を行った。

結果:1〜2週間後、平均トリロスタン投与量は1.4 mg/kg 12時間毎(22 頭の犬; よい反応[臨床症状の消失], 8頭; 乏しい反応, 14頭)だった。4〜8週間後、平均投与量は 1.8 mg/kg 12あるいは8時間毎(それぞれn = 21 と1 頭; 15頭がよい反応、5頭は乏しい反応;2頭は不調)だった。2回目の再評価から8〜16週間後、残っている犬はよい反応だった(平均投与量, 1.9 mg/kg,12時間毎 [13頭の犬]そして1.3 mg/kg,8時間毎 [3頭])。1日1回投与後の3-4時間と8-9時間で、平均ポストACTH刺激血清コルチゾール濃度はそれぞれ 2.60 と 8.09 Pg/dLだった。

結論と臨床関連:自然発症性副腎皮質機能亢進症の犬において、2頭は治療中に不調になったが、低用量12時間毎でトリロスタンを投与すると効果的であった。薬剤効果は8-9時間で減少する。起こりうる副作用の可能性のため、低用量が評価されるべきである。(Dr.Kawano訳)

Dr.Satoの気になる文献

■授乳を通して子犬へのレラキシンおよびエストロジェンの伝達と股関節の緩みに関係する可能性
Transmission of relaxin and estrogens to suckling canine pups via milk and possible association with hip joint laxity
Am J Vet Res. January 2008;69(1):59-67.
Bernard G Steinetz, Alma J Williams, George Lust, Christian Schwabe, Erika E Bullesbach, Laura T Goldsmith

目的:股関節形成不全(HD+)の遺伝傾向を持つ子犬の股関節の異常な緩みが、ミルクで運ばれるホルモンの摂取に関係するかどうかを判定する

動物:HD+の7頭のメスのラブラドールレトリバーと股関節形成不全の素因が低い(HD-)8頭およびそれらの子犬

方法:HD+授乳中のメス犬のミルク中に含まれる免疫活性レラキシン、エストロジェン、エストロジェン前駆物質濃度とそれらの子犬の血清濃度を、HD-のメス犬および子犬の濃度と比較した。アロマターゼ抑制物質(CGS 16,949A)を、ミルクに含まれる前駆物質から合成されるエストロジェンを抑制するため授乳中のHD+メス犬の子犬に注射し、股関節の緩みをコントロールの同腹子のそれと比較した。HD-のメス犬の子犬にエストラジオールシピオネートと犬レラキシンを注射し、それらのホルモンが股関節の緩みを誘発するかどうか判定するため、その子犬の股関節の緩みをコントロールの同腹子と比較した。

結果:授乳中ずっとHD+およびHD-メス犬のミルク中のエストロジェンおよびレラキシンは高濃度だった。ミルクにより運ばれたレラキシンおよび総エストロジェンの血清濃度は全ての子犬で同じだったが、HD+メス犬の子犬のみエストラジオール-17Bが検出された。CGS16,949Aを投与した子犬の股関節の緩みは減少した。エストラジオールシピオネートおよびレラキシンを投与したHD-メス犬の子犬で股関節の緩みは増加した。

結論と臨床関連:ミルクに含まれる母性ホルモンおよび前駆物質は犬の新生児の循環に吸収され、HD+子犬において股関節の緩みに作用するかもしれない。ゆえに股関節形成不全の表現型発現は、抗ホルモン療法で防ぐことができるかもしれない。(Sato訳)

母犬の母乳中のホルモンも股関節形成不全に関与しているようです。

はみだし文献訳

■裏付けある創傷管理:肉芽形成と上皮形成を促進する治療剤の系統的概説
Evidence-based wound management: a systematic review of therapeutic agents to enhance granulation and epithelialization
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2007;37(3):559-77. 49 Refs
Maria A Fahie1, Donna Shettko

犬における開放創の管理の成功には、創傷治癒の生理学の知識および適切な治療処置を選択する知識の応用が必要である。著者の目的は、犬における開放創の肉芽形成または上皮化を高める利用可能な治療剤があるかどうかを調査することだった。著者の再調査で確認した文献をもとに、局所創傷剤に対する推奨または研究した処置の推奨は十分なエビデンスがない。(Sato訳)

睡眠発作

■犬の睡眠発作の病態生理と臨床管理
Review of pathophysiology and clinical management of narcolepsy in dogs
Vet Rec. September 2007;161(11):375-80. 30 Refs
M Tonokura, K Fujita, S Nishino

睡眠発作は人や動物で見られる慢性睡眠障害である。17犬種が散発的に、ドーベルマン、ラブラドールレトリバー、ダックスフントでは家族性に発生する。それらの犬が呈する特性は、人の睡眠発作に著しく似ており、脱力発作(感情的刺激に対する反応で突然の筋緊張喪失)、より短い睡眠潜伏などである。最近では家族性(無発現変異レセプター)、散在性(リガンド産生減少)両方による犬睡眠発作の病因は、ヒポクレチン/オレキシン神経伝達の欠損に関与するといわれている。ヒポクレチン欠損は、脳脊髄液中のヒポクレチン-1の測定により検出可能で、これは臨床でヒポクレチン、リガンド欠損症例の診断に使用できた。睡眠発作は進行性でも命を脅かすものでもないが、臨床症状は生涯持続し、終生治療とケアが必要とされる。この文献は、犬の睡眠発作研究の最近の進歩を概説し、その疾患の診断と治療を紹介する。(Sato訳)

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●Dr.Xの今週のひとこと

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