2008年5月20日発行

1ランク上の保険と資産運用の話(第133号)

世界エネルギー市場

ともかくするとイデオロギーの話になりがちなエネルギーの話を淡々と事実に即して書いてあるところが評価できる本です。主義主張の偏った本を読むと、その本の正当性を検証するために別の角度からの本を少なくとももう一冊読む必要がありますが、この本についてはそういうことはないでしょう。

環境問題の先進地域ヨーロッパで起こっていること、考えられていることが紹介してあり、環境関連投資などを…

地球温暖化で伸びるビジネス

もしあなたが地球温暖化がどのように経済に結びついているのか?基礎から教科書的な話を知りたいと思ったときには、この本は役に立ちます。投資のアイデアをこの本から見つけようとすると物足りなさを感じるでしょう。

地球温暖化の話の入り口にある本だと思ってもらうのが一番だと思います。業界のごとの温暖化対策なども簡単にまとめてあり、ナビゲーションとしては役に立つかもしれません。

社会的責任投資〜Social Responsibility Investment(その2)

スクリーニングの必要性

表1は、Social Investment Forum という外国のSRI関連の組織が代表的なSRIのためのスクリーニング項目として示しているものです。タバコ製品を扱う企業がダメとか、環境に配慮していない企業は投資対象から外すといったように、投資対象を絞り込んでいくことをスクリーニングといいます。

表1 SRIの代表的なスクリーニング

SRIの代表的なスクリーニング

JTは投資対象から外す?

確かに、一見すると合理的なように見えるのですが、たとえば、タバコ製品を扱っているJTのような企業を考えてみましょう。「JTはタバコを製造しているから投資対象として外す」というスクリーニングは正しいのでしょうか?

確かにJTはタバコ事業がその売上の約8割を占めていますが、培った技術を生かして食品や医薬品の分野にも進出しています。こういった事業の評価はどうなるのでしょうか?

石油会社は環境によろしくない?

環境というキーワードも同じかもしれません。たとえば、発電事業でも石油や石炭などの化石燃料を使用している企業には投資しないという制限を課したとします。そうすると、日本の石油会社は軒並み投資対象から外れてしまいます。

ところが、日本の石油業界は2005年1月から世界に先駆けてガソリンと軽油のサルファフリー化を実現したそうです。(石油連盟ホームページより)サルファフリーとは、ガソリンや軽油に含まれる硫黄分を10ppm以下まで低減することをいうそうです。

日本の石油はかなりの割合をペルシャ湾岸から輸入しており、WTIや北海ブレント(注1)などに比べてより硫黄分の多い石油を輸入していながら、クリーンな製品を早期から生産していることは評価されてよいと思うのですが、画一的にスクリーニングをしていたのではそういう評価は不可能です。

結局、一見社会的な意味のあるスクリーニングに見えても、実はざるの目を大きくしているだけという事態になっているのかもしれません。そして、ざるの目を抜け落ちていくのが魅力的な銘柄であるなら、そのようなスクリーニングは不必要ではないでしょうか?

個別ファンドの例

Social Investment  Forumはたくさんの情報を提供してくれていますが、個別ファンドのパフォーマンスなどに関する情報も提供してくれています。「株式特化型」という区分で10年間平均でトップにランクされているのは、「New Alternatives Fund Inc」というファンド(注2)です。このファンドは、代替エネルギーに投資対象を特化したファンドです。

このファンドは目論見書でかなり客観的な情報を与えています。そのいくつかを紹介しましょう。

目論見書記載事項

  • ファンドのリスクに関して…
    新しいテクノロジーとはおそらく可能ですがそのコストは安いものではありません
  • ファンドの特徴…
    SRI(社会的責任投資)とはポートフォリオマネージャーによって認識された主観的な概念であり、投資できる企業の数を減らします

ファンドのパフォーマンス

ファンドのパフォーマンスは、市場インデックスに比べてそれほど高いものではありません。むしろ、長期になれば市場インデックスに追随できない傾向にあります。

表2 平均年換算騰落率

2006年末時点

 

 

1年

5年

10年

ファンド

税引き前

27.47%

6.49%

7.03%

 

分配金の税引き後

26.45%

5.95%

5.80%

 

分配金とファンドの株式売却の税引き後

18.97%

5.41%

5.40%

市場インデックス

ラッセル2000

18.37%

11.39%

9.44%

 

S&P500

15.79%

6.19%

8.42%

ファンドの手数料と費用

 

表3 手数料と費用

株主手数料

 

購入時最大手数料

4.75%

繰り延べ手数料

なし

ファンド留保額

なし

年間運用費用

 

運用手数料

0.61%

その他手数料

0.64%

合計

1.25%

投資の可能性

このファンドでは、エネルギーの定義の記載に次のようなことを書いています。

ファンドが投資する場合

このファンドでは、太陽発電や代替エネルギーの定義に、一般的な使われ方をした石油や石炭を含みません。

一般的なエネルギー関連企業でも、太陽発電や燃料電池あるいはファンドが注目するその他の製品やテクノロジーの積極的な開発を行っているときは、このファンドは投資する可能背があります。

結局、このファンドは正確に情報を伝えてくれていると思います。

ということではないでしょうか?これらを踏まえた上で、SRIを考えてみるとよいと思います。

注1

WTI:ウェスト・テキサス・インターミディエイト 米国のオクラホマなどで産出される硫黄分の少ない良質の原油で原油先物の指標 北海ブレント 北海のブレント油田で産出される硫黄分の少ない原油

注2

このファンドが日本で販売されているのかどうか調査していません。ここで表示する内容は同社ウェブサイトに公表されている2007年4月30日現在の目論見書によるものです

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編集後記

「1+1は2ではない」。これ、私がメルマガを書くときに思うことです。今回も同じテーマについて2回に分けて執筆しましたが、2回に分けて書きました。もし1回で書ききっていたらもっと時間は短縮されていたと思います。

1回分書き終わると、いつもナマケモノの虫が出てきてくじけてしまいます。2週間後にまた同じことを思い出さないとダメな羽目に陥るのに…ところで、今回の話、SRIをけなしているのではりませんよ、おわかりでしょうが

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投資信託では、一般的に、受益者が信託報酬および監査費用を負担し、加えて、申込手数料および信託財産留保額などを負担する場合があります。これらの費用の水準は、投資家の皆様方ご自身がそれぞれの投資信託の目論見書等によりご確認いただきますようお願いいたします。

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