2008年5月19日号

毎週月曜日発行第331号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
軟部組織肉腫ってすごい神経を使う嫌いな腫瘍です・・・。
CONTENTS

症例検討
Dr.UGAの気になる文献
Dr.HAGIの気になる文献
Dr.Kの気になる文献
Dr.TADOの気になる文献
Dr.Kawanoの気になる文献
Dr.Satoの気になる文献
はみだし文献訳
破傷風
掲示板から
Dr.Xのひとこと

症例検討

皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。

Dr.UGAの気になる文献

■ロムスチンを用いた猫の肥満細胞腫の治療:38症例
Lomustine for treatment of mast cell tumors in cats: 38 cases (1999-2005)
J Am Vet Med Assoc. April 2008;232(8):1200-5.
Kenneth M Rassnick, Laurel E Williams, Orna Kristal, Renee Al-Sarraf, Jennifer L Baez, Courtney H Zwahlen, Gillian Dank

目的:肥満細胞腫の猫の治療時におけるロムスチンの臨床効果と副作用を決めること。

統計:回顧的症例検討。

動物:大きさが計測可能で、組織学的もしくは細胞学的に肥満細胞腫と確定し、ロムスチン(50 mg/m2以上)により治療を行った38頭の猫。

方法:治療反応と毒性について医療記録を調査した。カプランマイヤー法が寛解期間を推定するために用いられた。

結果:26頭が皮膚、7頭が腸管膜リンパ節、2頭が消化管、2頭が肝臓、そして1頭が多臓器をおかす肥満細胞腫であった。使用されたロムスチンの用量は22頭で50 mg/m2、16頭で60 mg/m2であった。ロムスチンの中央投与用量は56 mg/m2(範囲は48〜65 mg/m2)であり、中央投与回数は2回(範囲は1〜12回)であった。7頭で完全寛解、12頭で部分寛解がみられ全体の反応率は50%であった。中央反応期間は168日(範囲は25〜727日)であった。最も一般的にみられた副作用は好中球減少と血小板減少であった。

結論と臨床関連:結果よりロムスチンは猫の肥満細胞腫に対して効果的であり、よく耐えることができた。また、肥満細胞腫を患った猫に対するロムスチンを用いた治療は、局所療法が選択肢としてないときに限り考慮すべきである。(Dr.UGA訳)

Dr.HAGIの気になる文献

おやすみ

腫瘍系文献

■犬の軟部組織肉腫の外科的治療に対する予後因子:75症例(1986-1996)
Prognostic Factors for Surgical Treatment of Soft-Tissue Sarcomas in Dogs: 75 Cases (1986-1996)
J Am Vet Med Assoc 211[9]:1147-1151 Nov 1'97 Retrospective Study 27 Refs
Charles A. Kuntz, DVM, MS; William S. Dernell, DVM, MS; Barbara E. Powers, DVM, PhD; Chad Devitt, DVM, MS; Rodney C. Straw, BVSc; Stephen J. Withrow, DVM

目的:犬における軟部組織肉腫の治療で外科手術結果を判定することと、結果の予想に使用できる予後変動値を確認すること

構成:遡及症例シリーズ

動物:外科的治療のみを行った軟部組織肉腫の犬

方法:臨床関連データに対する記録を調査した。組織学的サンプルを再調査した。身体検査、依頼獣医師またはオーナーとの電話による対話により追跡情報を入手した。

結果:体幹および四肢に軟部組織肉腫を持つ75頭を確認した。年齢中央値は10.6歳だった。悪性末梢神経鞘腫は、他の腫瘍より有意にグレードが低かった。腫瘍の局所再発は75頭中11頭(15%)だった。手術マージンに腫瘍細胞がないという評価は、局所再発を予想するものだった。転移疾患は75頭中13頭(17%)で発生した。腫瘍分裂速度は、転移の発生を予想するものだった。75頭中25頭(33%)は腫瘍関連の原因で死亡した。腫瘍壊死の比率および腫瘍分裂速度は生存期間を予測するものだった。生存期間中央値は1416日だった。

臨床関連:低局所再発率、長い生存期間中央値をもとに、広範囲腫瘍マージン切除または根治手術は体幹および四肢の軟部組織肉腫の管理に有効な方法であると思われる。予後に対する組織学的特性の分析は、術前バイオプシーの使用が支持された。外科的マージンは評価すべきで、積極的な外科手術の早期介入が犬の軟部組織肉腫の管理に指示される。(Sato訳)

Dr.kawanoの気になる文献

■犬の僧房弁閉鎖不全症におけるピモベンダンの効果
Effects of pimobendan for mitral valve regurgitation in dogs.
J Vet Med Sci. 2007 Apr;69(4):373-7.
Kanno N, Kuse H, Kawasaki M, Hara A, Kano R, Sasaki Y.
ピモベンダンは2つの作用機序がある:トロポニンCのカルシウム感受性を増加させることによって心筋の収縮力を増加させ、PDEIIIを抑制することによって血管拡張を促進する。心筋の増強作用及びホスホジエステラーゼ(PDE)活性抑制作用を有することで、強心作用及び血管拡張作用の2つの作用を同時に示し、従来の製剤とはまったく異なった作用機序を持つ。この研究で軽度僧房弁閉鎖不全症(MR)の犬の心機能、血行力学そして神経ホルモン因子に対するピモベンダンの効果を検査した。犬に0.25 mg/kg1日2回で4週間ピモベンダンを投与した。
ピモベンダンで心拍と心拍出量は変化しなかったが、収縮期血圧が徐々に低下し、僧房弁逸脱の程度が減少する傾向にあった。腎血流量は明らかに増加し、糸球体ろ過率は2、4週間でわずかに増加した。さらに4週間を超えると血漿ノルエピネフリン濃度が明らかに減少し、収縮期の指数がわずかに増加し、左心房径と左心室径が明らかに減少し、心臓の大きさも改善した。これらの結果からピモベンダンは犬のMRの治療に有効だと思われる。しかし、軽度と中等度のMRを持つより多くの犬を使ったピモベンダンのさらなる長期間の研究が、ピモベンダンの安全性を確立するため、および生活の質の改善を実証するために必要である。(Dr.Kawano訳)

■軽度変性性僧房弁疾患の犬におけるピモベンダンとベナゼプリルの単独療法の心臓の副作用の比較:前向き無作為盲検コントロール試験
Comparative adverse cardiac effects of pimobendan and benazepril monotherapy in dogs with mild degenerative mitral valve disease: a prospective, controlled, blinded, and randomized study.
J Vet Intern Med. 2007 Jul-Aug;21(4):742-53.
Chetboul V, Lefebvre HP, Sampedrano CC, Gouni V, Saponaro V, Serres F, Concordet D, Nicolle AP, Pouchelon JL.

背景:ピモベンダン(PIMO)は犬の変性性僧房弁疾患(MVD)においていくつかの有益な効果があるかもしれないという強心性血管拡張薬である。しかし収縮期の心筋機能不全がない犬におけるピモベンダンの心臓に対する効果に関して利用できる情報は少ない。

仮説: アンギオテンシン変換酵素阻害剤であるベナゼプリル(BNZ)と比較して、PIMOは早期の犬MVDの弁の逸脱を悪化させるかもしれない。

動物:無症候性MVDの12頭のビーグルをBNZあるいはPIMOをそれぞれ0.25 mg/kg PO 24時間毎および12時間毎で512日間投与する2つのグループ(n = 6)に無作為に分けた。

方法: 研究は前向き盲検無作為平行グループ構成で追跡した。512日後、犬を剖検し、心臓の組織病理検査を盲検法で実施した。

結果: 内径短縮率(P < .0001)と組織ドップラー変数(P = .001)で評価した基準値と比較して、PIMOグループにおいて15日目には収縮機能の増加がする明らかな治療効果が観察された。
同時に逆流ジェット信号の最大面積とピーク速度が増加(P < .001)した。しかしこれらの変数はBNZグループでは安定したままであった。僧房弁病変の組織学的グレードはBNZグループに比べてPIMOグループでより重度であった。
さらに急性局所性出血、内皮の乳頭状の過形成そしてグルコサミノグリカンの腱索への浸潤はPIMOグループの犬の僧房弁で観察されたが、BNZグループでは観察されなかった。

結論と臨床関連:PIMOは無症候性MVDの犬では心機能と形態学的影響に対する有害作用がある。症候性MVDの犬におけるさらなる調査が現在求められている。(Dr.Kawano訳)

Dr.Satoの気になる文献

■犬においてルーチンな麻酔前の血液および生化学スクリーニングは正当化されるか?
Is routine pre-anaesthetic haematological and biochemical screening justified in dogs?
Vet Anaesth Analg. January 2008;0(0):.
Michaele Alef1, Ferdinand von Praun, Gerhard Oechtering

目的:麻酔が必要な犬において通常の血液および生化学スクリーニングが有効かを判定し、麻酔前のリスク評価において最も有効な検査を確立すること

動物:2003年1月から2004年4月の間にライプツィヒ大学で手術を行った1537頭の飼育犬
素材と方法:標準的な病歴および身体検査結果を入手した後、麻酔を必要とするすべての犬をASA身体状況群、判定された麻酔前治療の必要性、提唱される麻酔プロトコールで振り分けた。それから血液学的(ヘマトクリット、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度)および血清生化学検査(血漿尿素、クレアチニン、グルコース、総タンパク、ナトリウムおよびカリウム濃度、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、リパーゼ活性)を全ての動物で実施した。それからそれらの結果を次の4つに使用した。1)各犬のASA身体状況を再定義、2)麻酔前治療の必要性が変化したもの、3)手術を行う犬の安定性の再判定、4)最初に提唱された麻酔プロトコールの安定性の再検査。
結果:1537頭中1293頭(84.1%)の病歴および臨床検査で、血液学的および生化学検査は正常な状況下で不必要と考えられるだろうと示された。それらの内、ASA1に分類されたのは63.9%、ASA2は28.5%、ハイリスクは7.6%だった。スクリーニング結果が異常値を示した犬もおり、1293頭中16.7%は異常な血漿尿素レベルで、5.9%は参照値以上だった。しかし、104頭(8%)のみ検査結果を入手してより高い身体状況カテゴリーに再編成された。追加のスクリーニングデータで、手術延期が10頭(0.8%)、追加の麻酔前処置が19頭(1.5%)、麻酔プロトコールの変更が2頭(0.2%)で指示された。
結論:術前スクリーニング検査により明らかとなった変化は、通常臨床関連はほとんどなく、麻酔方法を大きく変更させるようなものではなかった。
臨床関連:犬において麻酔前の血液検査は、病歴および身体検査で問題の可能性が認められなければ、追加の重要な情報を得られにくい。(Sato訳)

十分な日ごろの変化に対する情報聴取と身体検査を行えば、術前血液検査は必要ないという文献ですね

はみだし文献訳

■犬でポリミキシンBによる誘発が疑われる尋常性天疱瘡
Suspected polymyxin B-induced pemphigus vulgaris in a dog
Vet Dermatol. June 2007;18(3):165-70.
Jan Rybnicek, Peter B Hill

おそらくポリミキシンB点耳薬の投与により誘発したと思われる尋常性天疱瘡(PV)の一症例を紹介する。3歳メスの土佐犬が耳介、外鼻孔、口唇、口腔粘膜の急性腫脹、水疱形成、潰瘍痙性を呈した。犬は沈うつで発熱し食欲不振だった。急性潰瘍性疾患発症前7日からポリミキシンB点耳薬を、耳感染の治療に両耳に使用していた。皮膚と粘膜バイオプシーで、PVを示す基底上裂形成、棘融解が見られた。ポリミキシンB点耳薬を中止し、静脈輸液、全身および局所抗生剤療法、プレドニゾン、アザチオプリンの免疫抑制療法で治療した。2週間後に完全寛解となり、1ヵ月後に免疫抑制療法を中止した。1年間の追跡調査でPVの臨床症状は再発していなかった。PVは通常自然に改善しない、または長期間寛解しているため、その状況はポリミキシンBの耳への投与による薬剤誘発だろうと考えられた。(Sato訳)

破傷風

■破傷風の犬13症例
Thirteen cases of tetanus in dogs
Vet Rec. September 2007;161(9):298-302.
S Adamantos, A Boag

破傷風の犬13頭の記録を再調査した。そのうち12頭は生存して退院したが、高熱の急性発現の結果1頭は死亡した。生存した10頭で長期追跡調査ができ、9頭は正常ということだった。1頭は退院後4ヶ月目に頚椎骨折後安楽死された。管理中に見られた合併症は、3頭で吸引性肺炎、2頭で尿路感染、各1頭ずつ上部気道閉塞、裂孔ヘルニア、寛骨大腿脱臼、発作と呼吸停止だった。ベンチレート補助を必要とした犬はおらず、合併症はうまく管理できた。犬は集中的に管理され、注意深くモニターされた。(Sato訳)

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●Dr.Xの今週のひとこと

おやすみ

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