毎週月曜日発行第330号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
| 若い子の乳腺腫瘍の手術は片側全摘がよさそうですね。 |
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kの気になる文献
●Dr.TADOの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●胆管
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.UGAの気になる文献
■猫のワクチン接種部位肉腫の予後因子分析:57症例
Analysis of prognostic factors associated with injection-site sarcomas in cats: 57 cases (2001-2007)
J Am Vet Med Assoc. 2008 Apr 15;232(8):1193-9
Romanelli G, Marconato L, Olivero D, Massari F, Zini E.
目的:猫のワクチン接種部位肉腫の予後因子を決定すること。
統計:回顧的症例検討。
動物:57頭のワクチン接種部位肉腫の猫。
方法:性別、年齢、腫瘍の解剖学的位置、腫瘍の大きさ、組織学的悪性度、初回腫瘍切除と再発腫瘍切除、腫瘍切除単独治療と切除に加えて補助療法を行った場合、局所再発、遠隔転移の進行と予測される生存期間(つまり、腫瘍切除時から死亡時まで)について猫の医療記録から検討した。
結果:単変量分析において、局所再発と遠隔転移は生存期間と有意に関連性がみられた。多変量分析において、遠隔転移は有意な予後因子とされた。組織学的悪性度は遠隔転移と関連しており、グレード3の腫瘍の猫ではグレード1やグレード2の猫よりも遠隔転移が有意に起こり易かった。ワクチン発生部位肉腫の局所再発と関連した予後因子はみられなかった。
結論と臨床関連:本疾患の一連の流れにおいて、後に起こるかもしれない遠隔転移への進行は生存期間に対する予後因子の一つであった。また、ワクチン接種部位肉腫の組織学的グレード3の猫において、高率でみられる遠隔転移を防ぐための化学療法ついて検討する必要がある。(Dr.UGA訳)
●Dr.HAGIの気になる文献
■犬の炎症性乳癌:21例の病理組織学、免疫組織化学、臨床上の意義
Canine inflammatory mammary carcinoma: histopathology, immunohistochemistry and clinical implications of 21 cases.
Breast Cancer Res Treat. 2003 Mar;78(2):141-8.
Pena L, Perez-Alenza MD, Rodriguez-Bertos A, Nieto A.
ヒトの炎症性乳癌(IBC)は乳癌の中で最も悪性度の高い種類であり、非常に予後が悪い。犬は自然発生性の炎症性乳癌(IC)の報告のある特殊な動物種であるが、詳細は明らかではない。この研究の目的は犬ICの病理組織学的、免疫組織化学的特徴を明確にするとともに臨床的特徴を検討することである。ICと診断され、臨床データと剖検データの存在する21例の犬が研究に含まれた。剖検での組織サンプルにより、病理組織学的再調査と免疫組織化学的研究((Ki-67, エストロゲンレセプター (ER),プロゲステロンレセプター (PR),P53腫瘍抑制蛋白質)を行った。組織学的研究において癌のいくつかの種類(充実性、管状、乳頭状、腺扁平上皮状)と3つの脂質の多い癌が明らかになった。全ての腫瘍はER陰性だった。腫瘍の皮膚浸潤には組織学的に2つの形態が観察された。管状/乳頭状と肉腫様である。
皮膚への肉腫様の浸潤は過去の黄体ホルモン薬による治療歴(P=0.006)、ICの原発の種類(P=0.03)、局所の極度な疼痛(P=0.02)、皮膚リンパ管の塞栓の減少(P=0.01)、p53の発現の増加(P=0.001)が有意に関連していた。PR発現は切除後ICに続発して有意に高かった(p = 0.04)。PRの欠如は剖検時、肺転移の存在と関連があった(P=0.04)。犬の原発性ICは乳癌の中でも最も悪性の形態をとり、病理組織学的、免疫組織化学的にもはっきりと異なっている。プロゲスチンと内分泌に関したメカニズムは犬のICの発生に関係がありそうである。犬のICはヒトのIBCの自然発生性モデルとして、とりわけ新しい治療の試みに関する研究において、役立つかもしれない。(Dr.HAGI訳)
●腫瘍系文献
■局所乳腺切除の雌犬の乳腺腫瘍再発
Mammary tumor recurrence in bitches after regional mastectomy
Vet Surg. January 2008;37(1):82-6.
Nina Stratmann, Klaus Failing, Andreas Richter, Axel Wehrend
目的:局所乳腺切除後の残存乳腺連鎖組織における新しい乳腺腫瘍成長の組織診断および発生率を調査する
研究構成:前向き臨床研究
動物:単一乳腺腫瘍の切除を行った雌犬(n=99)
方法:単一腫瘍切除のために局所乳腺切除を行った雌犬を、術後1年以上追跡調査した。腫瘍の種類、再発、転移発生に関するデータを記録した。
結果:初回手術後、57頭(58%)に同側の乳腺連鎖に新しい腫瘍が発生し、そのうち77%はもう一度手術した。新しい腫瘍発生までの期間と、1度目、2度目の腫瘍のタイプの組織診断に有意な相関は見られなかった。31頭の犬は、最初とその次の腫瘍の組織診断が同じで、初回悪性腫瘍の犬は、別の悪性腫瘍を発生しやすいという有意な相関があった(P=.0089)。新しい腫瘍の組織学的分類は、初回の腫瘍が取り除かれた側に接して位置する場合、悪性であることが多かった(P=0.26)。
結論:我々の結果は、単一腫瘍を切除する局所乳腺切除後の58%の犬に、同側連鎖の残存乳腺に新しい腫瘍が発生することを示す。
臨床関連:このことを単一乳腺腫瘍の犬の外科管理(根治または局所乳腺切除)を決するときに考慮すべきである。(Sato訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■猫のアトピー性皮膚炎における急速アレルゲン特異免疫療法プロトコール:4頭の猫の予備的研究
Rush allergen specific immunotherapy protocol in feline atopic dermatitis: a pilot study of four cats.
Vet Dermatol. 2005 Oct;16(5):324-9.
Trimmer AM, Griffin CE, Boord MJ, Rosenkrantz WS.
急速免疫療法は犬のアトピー性皮膚炎患畜において従来の免疫療法と同じくらい安全性が示されている。猫のアトピー性皮膚炎患畜において急速免疫療法は報告されていない。この予備的研究の目的は、猫のアトピー性皮膚炎患畜において急速免疫療法の安全なプロトコールを決定することだった。病歴、身体検査そして適切な鑑別診断による除外で診断した4頭のアトピー性皮膚炎の猫がこの研究に組み込まれた。アレルゲンは液相免疫酵素検査(VARL:
Veterinary Allergy Reference Labs, Pasadena, CA)で認識した。はじめの注射の24時間前と2時間前に1.5mgのトリアムシノロンを経口的に前投与し、24時間前と12時間前と2時間前に10mgのヒドロキシジンを経口投与した。はじめの注射の前に静脈内カテーテルを設置した。
15000PNU/mlの維持容量となるように5時間まで30分毎にprotein nitrogen units
(PNU) を増加させながらアレルゲン抽出液(グリアー社、レノア、ノースキャロライナ)をすべて皮下注射した。バイタルサインを15分ごとに評価した。2頭の猫は軽度掻痒に発生し、次の注射を30分延期した。2頭の猫はバイタルサインに変化がなく、更なる痒みもなかった。すべての猫で急速免疫療法は完全に成功した。2頭の猫で1週間後に頚背部の皮膚が腫脹した。これらの4頭の猫において、このプロトコールは維持療法に到達するための安全な治療方法になると思われた。副作用の発生率の決定やこの方法による誘導に基づいたアレルゲン特異的免疫療法の成功に繋げるために、より多い猫の検体が必要である。(Dr.Kawano訳)
■犬の再燃性あるいは難治性リンパ腫に対するL-アスパラギナーゼ、ロムスチンそしてプレドニゾンによるコンビネーション化学療法
Combination chemotherapy with L-asparaginase, lomustine, and prednisone for relapsed or refractory canine lymphoma.
J Vet Intern Med. 2007 Jan-Feb;21(1):127-32.
Saba CF, Thamm DH, Vail DM.
背景:犬のリンパ腫(LSA)は初期治療に反応するが、初期のプロトコールの薬剤に対して抵抗性を示すようになる。新しいレスキュープロトコールが必要である。
仮説: L-アスパラギナーゼ、ロムスチンそしてプレドニゾンのコンビネーションはよく耐えることが出来、犬のLSAのレスキュー療法として効果的である。
動物:難治性あるいはCHOP (シクロフォスファミド/ドキソルビシン/ビンクリスチン/プレドニゾン)に基づいた化学療法プロトコール後に再燃した多中心型LSAと細胞学的に確定診断した飼い主が所有する31頭の犬
方法:前向き臨床試験。ロムスチン(標的投与量. 70 mg/m2)を3週間間隔で合計5回あるいは病気が進行するまで経口的に投与した。はじめの2回のロムスチン治療と同時にL-アスパラギナーゼ(400 U/kg)を皮下注射した。プレドニゾンはプロトコールの期間中漸減して投与した。
結果:このプロトコールで治療した犬のすべての反応率は87%(27/31)で、完全寛解に達した犬が52%(16/31)だった。反応に対する中央期間は21日だった。腫瘍の進展に対する中央期間は63日(完全寛解に達した犬で111日、部分寛解に達した犬で42日)だった。
このレスキュープロトコールを始める前にL-アスパラギナーゼを受けた犬とそうでない犬の間には、反応率と進展する時間に明らかな違いはなかった。副作用は軽度で、31症例中29症例で自然治癒した。
結論と臨床関連:これはよく耐えられる犬の再燃性LSAのレスキュー療法である。反応率と寛解期間は他の有効なレスキュープロトコールと匹敵した。従ってこのプロトコールは実行可能なレスキューオプションである。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■猫の破骨細胞と骨吸収に対するpHのインビトロにおける影響:FORLの病因に対する関連
The in vitro effect of pH on osteoclasts and bone resorption in the cat: implications for the pathogenesis of FORL
J Cell Physiol. October 2007;213(1):144-50.
Mariusz Muzylak, Timothy R Arnett, Joanna S Price, Michael A Horton
老齢猫で破骨細胞過活性による歯科病変が流行しており、野生化した猫でも報告されている。猫骨破壊吸収病変(FORL)は、そのまま歯根骨折やその後の歯の喪失になりやすい歯の広範な吸収を起こす。FORLの原因病因は不明である。最近の研究では、全身性のアシドーシスが破骨細胞活性を増加させ、猫の口の感染、または炎症の部位がアシドーシスを起こしやすいと言われている。
これを調査するため、我々は猫の血から破骨細胞を作成し、牛の皮質骨のスライスにおける培養でそれらが多数(約400)作られることを発見した。アシドーシスでは、基準pH7.25で14日まで維持した培養において細胞の大きさを増加させ、平均破骨細胞エリアは0.01±0.003mm(2)だった。一方、11日から14日の間にpH7.15にして培養した細胞は8.6倍の増加を認めた(0.086±0.004mm(2))。アシドーシスでは破骨細胞数の中程度の増加を認めた。pH6.92にすると、吸収窩により覆われた骨スライス部分で5倍の増加を示した(約70%の骨スライス吸収)。
これら所見に従い、破骨細胞における吸収活性を反映するキーとなる酵素であるプロトンポンプ酵素およびカテプシンK発現(両方とも約3倍)の有意な増加が観察された。それらの結果は、猫においてアシドーシスは破骨細胞形成および機能的活性化の主要調節因子であることを示し、局所pH変化は、FORLの病因で重要な役割を演じるかもしれないと示唆される。(Sato訳)
口腔内のpH環境で骨吸収が起こりやすくなるんですね。
●はみだし文献訳
■イトラコナゾールで治療したデボンレックスのマラセチアpachydermatis関連脂漏性皮膚炎-予備研究
Treatment of Malassezia pachydermatis-associated seborrhoeic dermatitis in Devon Rex cats with itraconazole--a pilot study
Vet Dermatol. June 2007;18(3):171-4.
S Ahman, N Perrins, R Bond
6頭のデボンレックス(DRC)で経口イトラコナゾールによるマラセチアpachydermatis関連脂漏性皮膚炎の治療を調査した。マラセチアの皮膚集団を、イトラコナゾールのパルス治療(5mg/kg、7日投与、7日休薬、7日投与)前と21日後に接触プレートおよびswab-wash法で判定した。
治療前、すべての猫は腋窩、鼠蹊、鉤爪ひだ、手掌、足底趾間皮膚に脂ぎった脂漏性皮膚炎を認め、2頭は頚部腹側に同様の病変があった。治療後、趾間皮膚を除き(P=0.068)、全体の臨床スコア、評価した個別部位のスコアの有意な低下を認めた(P<0.05)。左右腋窩、左右鼠蹊、手掌趾間皮膚のマラセチア集団数は有意に減少したが(P<0.05)、鉤爪ひだの減数は有意に達しなかった(P=0.068)。DRCのマラセチア関連脂漏性皮膚炎の管理で、酵母数の劇的な減少と関連する脂漏性皮膚炎の顕著な臨床改善は、経口イトラコナゾールの潜在的有用性に対する重要な試験的データを提供する。(Sato訳)
●胆管
■肝外胆管閉塞の超音波特性:猫30例
Ultrasonographic features of extrahepatic biliary obstruction in 30 cats
Vet Radiol Ultrasound. 2007 Sep-Oct;48(5):439-47.
Hugues A Gaillot, Dominique G Penninck, Cynthia R L Webster, Sybil Crawford
我々の研究の目的は、自発肝外胆管閉塞の超音波特性を概説し、閉塞の原因として腫瘍、炎症、胆石の鑑別補助になりえるかどうかを判定することだった。術前超音波検査と肝外胆管閉塞を確認した30頭の猫を調査した。肝外胆管閉塞の97%の猫で、総胆管径が5mm以上だった。胆嚢拡張は<50%の猫に見られた。超音波検査は総胆管の全ての閉塞性胆石(結石またはプラグ)を確認できた。しかし、総胆管径も所見またはいずれの他の超音波特性も閉塞の原因として腫瘍及び炎症の鑑別ができなかった。短期間の臨床症状(10日以内)は閉塞性胆石症に関係していると思われた。(Sato訳)
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●Dr.Xの今週のひとこと
おやすみ
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