毎週月曜日発行第328号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
| 何をしても気持ちいい気候ですね〜。散歩に行ってもワンコが楽しそうです。 |
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kの気になる文献
●Dr.TADOの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●L-カルニチン濃度
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.UGAの気になる文献
■猫と犬の胸腺腫切除の結果:20症例(1984-2005)
Results of excision of thymoma in cats and dogs: 20 cases (1984-2005)
J Am Vet Med Assoc. 2008 Apr 15;232(8):1186-92.
Zitz JC, Birchard SJ, Couto GC, Samii VF, Weisbrode SE, Young GS.
目的:犬と猫の侵襲性、非侵襲性の胸腺腫に対し切除を行ない、長期間追跡調査情報を提供すること。
統計:回顧的症例検討。
動物:胸腺腫の9例の猫と11例の犬。
方法:医療記録を調べた。以下の要因が予後に影響するものとして分析された。犬もしくは猫の年齢、腫瘍の侵襲度、組織学的診断における腫瘤のリンパ球の割合(リンパ球の構成率)、そして腫瘤の有糸分裂指数。
結果:全ての患者が腫瘍切除のみ行われた。猫における中央生存期間は1825日であり、1年生存率は89%、3年生存率は74%であった。犬における中央生存期間は790日であり、1年生存率は64%、3年生存率は42%であった。胸腺腫の再発が2例の猫と1例の犬でみられ、それぞれに再手術が行われ以降の生存期間は初回の手術より5年、3年、そして4年であった。腫瘤のリンパ球構成率が生存率に有意に関連した唯一の要因であった。リンパ球の割合が高い症例がより長期生存した。
結論と臨床関連:今回の研究の結果より、胸腺腫の猫と犬の多くが切除後の経過が良好であることが示された。侵襲性の腫瘤の猫や犬でさえ手術により生存し、そして胸腺腫が再発したもの、腫瘍随伴症候群が現れた少数の猫と犬も長期間経過した後であった。腫瘤切除は胸腺腫を患う犬や猫における治療オプションとして効果的であるとされた。(Dr.UGA訳)
●Dr.HAGIの気になる文献
おやすみ
●腫瘍系文献
■組織球性肉腫の骨格病変の犬19例
Skeletal lesions of histiocytic sarcoma in nineteen dogs
Vet Radiol Ultrasound. 2007 Nov-Dec;48(6):539-43.
Ryan M Schultz, Sarah M Puchalski, Michael Kent, Peter F Moore
この研究の目的は、組織球性肉腫による二次的な骨病変を持つ犬の臨床およびエックス線所見を述べることだった。組織球性肉腫と組織学的に診断された骨病変をエックス線学的に確認した19頭の犬を調査した。医療記録、入手可能なエックス線写真、組織学的切片を遡及的に再調査した。犬を局所または瀰漫性組織球性肉腫群に亜分類した。5歳以上のゴールデンレトリバーまたはロットワイラーで跛行または脊髄に位置する神経学的欠損の病歴が最も多い症状だった。19頭中15頭は、骨破壊に関するエックス線で確認できる軟部組織マスを持っていた。
骨病変は攻撃的な特性を持ち、侵される部位は、関節周囲骨(n=11)、椎骨(n=6)、近位上腕骨(n=5)、肋骨(n=2)だった。19頭中15頭は、瀰漫性組織球性肉腫で、4頭は局所組織球性肉腫だった。ロットワイラー全ては瀰漫性組織球性肉腫だった。組織球性肉腫はエックス線で確認される侵襲的な関節周囲、椎骨、近位上腕骨病変の鑑別診断に考慮すべきである。5歳以上のゴールデンレトリバー、ロットワイラーのエックス線写真または脊髄造影において骨病変にかかわる軟部組織マスがあるとき、疑いを高めるべきである。組織球性肉腫を伴う骨関与およびロットワイラー種はその疾患の瀰漫性型に関係した。(Sato訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■花粉免疫療法:IL-10誘導と遅延反応の抑制はIgG4抑制性抗体活性に先行する。
Grass pollen immunotherapy: IL-10 induction and suppression of late responses precedes IgG4 inhibitory antibody activity.
J Allergy Clin Immunol. 2008 Mar 26 [Epub ahead of print]
Francis JN, James LK, Paraskevopoulos G, Wong C, Calderon MA, Durham SR, Till SJ.
背景: 花粉免疫療法はアレルゲン特異的免疫寛容の誘導と維持を研究するための機会を提供する季節性アレルギー性鼻炎の効果的な治療である。
目的:免疫療法の1年間のアレルゲンに対する臨床的応答性、調節性サイトカイン産生と抗体の応答の関係を調査した。
方法: 重篤な季節性アレルギー性鼻炎の18人の患者が、ミョウバンを吸収させた花粉ワクチン(Alutard
SQ)のアクティブあるいはプラセボ注射を行うランダム化二重盲検を受けた。患者は皮内アレルゲンに対する早期と遅発性皮膚反応の検査を繰り返し行い、花粉アレルゲンに対する細胞性反応を検査した。IgE応答の生物学的検定法においてアレルゲン特異的IgG4、IgAそして抑制活性を血清で検査した。
結果:花粉免疫療法はすべての兆候スコア(P < .05)と結膜の反応性(P <
.05)の減少において効果的であった。アクティブグループでは低濃度のアレルゲン注射の時に明らかなIL-10産生が早期に起こる。2〜4週目の遅発性皮膚応答の抑制と同じタイミングだった。血清アレルゲン特異的IgG4、IgAそして好塩基球のヒスタミン放出のための抑制性抗体活性そしてIgE促進性のB細胞に対するアレルゲン結合が、より高濃度のアレルゲンの6〜12週で遅れて起こり、早期皮膚応答の抑制に先行した。
結論 : IL-10 の反応は早期に起こるが、臨床的に効果的ではない免疫療法の投与量では起こらない。IgG4やIgAなどの抑制性抗体の後の誘導はIgE介在性現象の調節を通じた効果に必要かもしれなかった。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■骨軟骨腫症の猫における胸壁欠損の再建に対する広背筋および外腹斜筋の使用
Use of latissimus dorsi and abdominal external oblique muscle for reconstruction of a thoracic wall defect in a cat with feline osteochondromatosis
J Feline Med Surg. October 2007;0(0):.
Gabriele Gradner, Herbert Weissenbock, Sibylle Kneissl, Viviane Benetka, Gilles Dupre
4歳オスの去勢済み猫ヨーロッパ短毛種が、右尾側胸郭の触知可能な実質性マスで来院した。胸部のラテラル、腹背エックス線写真で、第13肋骨遠位から起こる4x3x2cm大きな膨張性、エックス線不透過性のマスが見られた。組織病理学的に猫骨軟骨腫症と確認された腫瘍切除後、横隔膜、大網、外腹斜筋および広背筋を欠損の再建に使用した。猫骨軟骨腫症はレトロウイルス、例えば猫白血病ウイルスにより誘発し、その猫の検査は陽性だった。そのような腫瘍は、骨肉腫に変わる傾向があるので、待機的理由により取り除いた。外科切除後6ヶ月で猫の臨床症状の再発は見られていない。(Sato訳)
皮膚や筋肉があるところの再建は簡単ですよね。
●はみだし文献訳
■mRNA RT-PCRによる猫の血液サンプル中の猫コロナウイルスの検出
The detection of feline coronaviruses in blood samples from cats by mRNA RT-PCR
J Feline Med Surg. May 2007;0(0):.
Kezban Can-S Ahna et al,
この研究で、猫伝染性腹膜炎(FIP)を示唆する臨床症状、すなわち発熱、体重減少、腹囲膨満、腹水を呈す猫1頭と健康な猫25頭から26の血液サンプルを採取した。その血液サンプルを、過去に臨床的FIPの診断に高い特異性を持つと述べられている逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により[Simons AF, Vennema H, Rofina JE, Pol JM, Horzinek MC, Rottier PJM, Egberink HF (2005) A mRNA PCR for the diagnosis of feline infectious peritonitis. Journal of Virological Methods124, 111-116]、猫コロナウイルス(FCoV)メッセンジャーRNA(mRNA)について検査した。
全体で臨床疾患を持つ猫を含む14頭(54%)の猫がFCoV陽性だったが、健康猫の中で陽性率が高いことはそれらねこのFIPの臨床診断に対し特異性が低いことを示唆した。6ヶ月-1歳の間の猫の陽性率が最も高いことを認めた。
われわれの所見は、健康な猫と同様臨床的FIPの猫の血液サンプル中にFCoVsが存在するかもしれないと示唆する。(Sato訳)
●L-カルニチン濃度
■健康な犬と肝障害の犬における血漿L-カルニチン濃度
Plasma L-carnitine concentration in healthy dogs and dogs with hepatopathy
Vet Clin Pathol. June 2007;36(2):137-40.
Stephan Neumann, Heike Welling, Sibylle Thuere, Franz-Josef Kaup
背景:L-カルニチンは脂質代謝で重要な役割を持つ。L-カルニチン代謝の障害は、その生物のエネルギー供給に影響する可能性がある。L-カルニチンはもっぱら肝臓で合成される。ゆえに、我々は、肝疾患がL-カルニチン代謝に影響しえると仮説を立てた。
目的:この研究の目的は、異なる程度の異なる肝疾患の犬の血漿L-カルニチン濃度と、健康犬の血漿L-カルニチン濃度を比較することだった。
方法:炎症性肝疾患の16頭、肝臓腫瘍の12頭を研究に含めた。肝疾患は、臨床化学、超音波、肝バイオプシー標本の組織検査で診断した。L-カルニチン濃度は、質量分析で血漿サンプルの測定を行い、不対スチューデントt-検定で群間比較した。
結果:健康なコントロール(24.4 +/- 8.4 micromol/L)との比較で、肝疾患の犬の血漿L-カルニチン濃度(44.2
+/- 23.7 micromol/L)は有意に高かった(P<.0001)。中程度(n=8; 33.6 +/-
13.7 micromol/L)と重度肝炎(n=8; 57.4 +/- 22.9 micromol/L)の犬のL-カルニチン濃度にも有意差が見られた(P=.02)。肝炎と肝腫瘍の犬の血漿L-カルニチン濃度に差はなかった。
結論:犬の肝疾患は、血漿L-カルニチン濃度上昇を伴った。肝炎の程度は明らかにL-カルニチン濃度に影響した。(Sato訳)
●掲示板は http://6829.teacup.com/vmagazine/bbs
●Dr.Xの今週のひとこと
おやすみ
☆327号の訂正
■物理及び化学因子による犬コロナウイルス不活化
Canine coronavirus inactivation with physical and chemical agents
Vet J. May 2007;0(0):.
Annamaria Pratelli
犬コロナウイルス(CCoV)は、子犬に軽度から中程度の腸炎を起こす。このウイルスは感染性が高く、感染犬とその排泄物との接触を避けることが唯一疾患を防ぐ確実な方法である。化学的殺生物剤に対するCCoVの感受性に注目した研究がないため、この調査はウイルス不活化の物理及び化学的方法の効果を研究した。CCoVの感染性は、+56℃30分間まで安定したが、+65℃と+75℃で急速に低下する傾向があった。殺菌性紫外線(UV-C)光暴露は、3日間までウイルス不活化に有意な影響を示さなかった。CCoVはpH6.0-6.5でより安定したが、極度な酸性の状況でウイルスは不活化された。2種の検査したアルデヒドはウイルスを不活化させたが、それらの作用は温度-及び時間-依存的だった。CCoV不活化の方法は、通常の検査処置中に病原体に研究者が偶然暴露されるリスクを減らす、ヒトコロナウイルス感染を研究する動物モデルとして利用できた。(Sato訳)
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