2008年4月22日発行

1ランク上の保険と資産運用の話(第131号)

D・O・G株式会社

保険代理店のウェブサイトだけど、保険のことがほとんど載っていない、そんなサイトの依頼を受けて作成を手伝わせていただきました。

保険の話じゃなければ、何を載せているの?

この会社の皆さまの人間性を載せたいと思っています。ぜひご覧になってください。

「年金特別便」「年金加入記録」が届いたら…

現在、大きな政治問題の一つに、宙に浮いた5000万件の公的年金の加入記録があります。それの解決策の一つに、社会保険庁から「年金特別便」が送られています。

特別便は、公的年金加入者全体を4つのグループに分け、昨年12月頃から順次発送されています。

4つのグループとは、…

企業分析〜NBC

売上高を予想する

セグメント情報を注視する大きな理由は、売上高を予想することにあります。実は、企業分析を行って株価を予想するという作業には、唯一絶対の方法はありません。逆に、予想の集大成のようなところがあります。

一般的に貸借対照表より損益計算書が重視されます。その損益計算書の中でも、最初の項目である売上高はとても大切ということになります。

NBCという会社の話に戻りましょう。NBC社は、第102期半期報告書の「事業の概況」でセグメントごとのビジネスの状況を詳しく述べています。セグメント情報で、会社が区分する分類とその数値的な推移を確認した後は、「事業の概況」でその定性的な状況を確認すればよいのです。表1のように確認することができます。

表1 セグメントごとの事業概況

セグメント

事業の概況

スクリーン印刷用資材

プリント基板業界は、片面基板については生産の海外移転や製品価格の下落、原材料価格の上昇が続き、依然厳しい状況

スクリーン印刷用メッシュクロスは、国内において、片面基板生産の減少の影響、一般印刷業界の低迷などにより減少

産業用資材

産業資材用途としては、携帯電話用、防虫網は競争の激化により減少
当社の加工技術を応用した新規開発製品であるPDP・液晶テレビのスピーカーグリル用途は順調に売上を伸ばしました

化成品

自動車用フィルターは、ABS用(アンチロックブレーキシステム)、インジェクター用、カークーラー用フィルターを中心として引き続き順調に推移
営業利益については、自動化の推進、生産性の向上に努めましたが、販売価格の下落等により減益

第102期半期報告書より抜粋

この定性情報をセグメントごとの定量情報と付き合わせると、表2ような判断ができるでしょう。

表2 セグメントごとの分析

セグメント

分析

スクリーン印刷用資材

主力のセグメントであるが電子部品の海外生産に移転に伴って販売が低迷している。海外展開がうまく推移しないと厳しいだろう

産業用資材

順調に業績が伸びていたのは、新規技術がかでPDP、携帯といった分野で販売できていたからである。こういった産業の売上に大きく影響を受けることになるのだろう

化成品

売上高利益率が低いのは、購入者が自動車産業であり、価格形成権が買い手にあるためである。このままだと利益率を引き上げるのは難しいだろう

一般に公開された資料よりバームスコーポレーション作成

表2の内容は少し厳しいものかもしれません。それを救うため?というわけでもないのですが、どのような企業でも現状のままであれば、製品やサービスの相対的な価値は低下してきます。そこで、新商品や新規サービスを提供することになります。

有価証券報告書や半期報告書は、現状を正確に捉えるには向いていますが、将来の情報を取得するには不十分な場合が少なくありません。そこで、会社の経営陣からのメッセージが大切になってきます。

製造業の場合、特に、設備投資計画と併せて研究開発や新規ビジネスへの取り組みを分析することになります。

NBC社では2005年に静岡県に菊川工場を新設しました。新規技術としては、各種説明会資料で説明されているのはナフィテックという製品です。ナノ技術を使ったこの製品で、ごみのつきにくい網戸や掃除機用防塵フィルターなどが製品化されているようです。

将来の売上高の予測をするときは、こういった新規技術が、既存の製品群の売上低下を補って成長を維持できるかという点がポイントになります。残念ながら、網戸や掃除機用防塵フィルターだけでは見通しがよいとは言い切れないと思います。さらに、既存事業は自動車や家電などのセクターの業績に大きく影響を受けるとことが予想されますが、こういったセクター(耐久消費財)は景気の減速とともに、販売が低迷する傾向があり、世界的な経済サイクルという観点からも売上げの増加が大きく見込まれるというわけにはいかないと考えられます。

今回、売上高成長率の予測として使用したメインシナリオは、表3のとおりです。

表3 売上高成長率の予測シナリオ(メイン)

 

103期

104期

105期

売上高

3.0%

2.0%

1.0%

ここでは、3期先の予想しかしていません。これは、NBC社に関する情報の量から考えたとき、それ以上先の予想を含めることは難しいという判断からです。

その他の項目の見積もり

さらに、売上原価については、原材料費、人件費、経費という3つの項目について、表4のように見積もりました。

原材料費については、第102期半期報告書において、「原油価格の高騰に伴う原材料価格等の上昇」と触れられているように、昨今の原油高を踏まえて10.0%増が続くと厳しい見積もりとなりました。その他、経費と人件費は今後3年間5.0%の伸びとなり、原材料費、人件費、経費の配分比率は102期時点のものと変わらないと見積もりました。

表4 売上原価の予測

 

比率

103期

104期

105期

原材料費

35%

10%

10%

10%

人件費

35%

5%

5%

5%

経費

30%

5%

5%

5%

また、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引くときに使用する資本コストと負債に対する借入利率は、表5のように見積もりました。

表5 割引率の予想

 

103期

104期

105期

資本コスト

8%

8%

8%

借入利率

2%

2%

2%

表5の見積もりはNBC社にとって重要な見積もりになります。なぜなら、同社は特殊な貸借対照表の構造を持っているからです。

表6 高い現金比率と低い財務レバレッジ

単位:百万円

項目

金額

比率

項目

金額

比率

現金及び預金

593,2

27%

負債

350,2

16%

その他の資産

1,615,6

73%

純資産

1,858,6

84%

資産合計

2,208,8

100%

負債・純資産合計

2,208,8

100%

第102期半期報告書より作成

NBC社は非常に多額の現金を保有しています。もし、日清製粉グループの子会社でなければ、完全なM&A対象となるでしょう。そして、高い現金比率は低い財務レバレッジの裏返しでもあります。実質的には、債務はありません。このため、WACC(加重平均資本コスト)は資本コストを上回る逆転現象が起きます。

収益見積もり

NBC社の公表している資料によれば、同社は2007年度にROE(株主資本利益率)8.0%を目指しているそうです。今回の見積もりでは、残念ながらROEの見積もりは大きくその数値を下回るものになりました。

売上高の伸びに対して、経費の見積もりが大きかったためです。これは計算における主観的な部分になります。

表7 将来の収益見通し

 

103期

104期

105期

ROE

3.9%

2.6%

0.9%

資本コスト

8%

8%

8%

超過ROE

-4.1%

-5.4%

-7.1%

表7の仮定に基づいて、2種類の株式価値を計算したものが、表8になります。

継続基準と書いてある欄は、会社が経営を継続したときの価値。一方、清算基準と書いてあるのは会社を清算したとした仮定したときの1株あたりの価値です。

表8 2種類の株式の価値

単位:円

 

継続基準

清算基準

株式価値(1株あたり)

1,466

3,289

なぜ、会社を継続したほうが価値が下がるというような事態が発生するかといえば、表7に示す超過ROEが将来にわたってマイナスになっているからです。

NBC社の業績がここで仮定するような見通しよりはるかによいものになるのであれば、もちろん結果は変わってきます。

ちなみに、表3示した売上高が、将来毎年5%増加し続けると考えれば、表8の継続基準での株式評価は、3,876円になります。

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編集後記

メルマガの書き溜めはそれほど難しくありませんが、この「編集後記」の書き溜めはかなり難しいものがあります。基本的には、最近こんなことを思うんだけど…というような話題で、それだけだと、どこにも載せ場がないものを「編集後記」に書いています。

だから、いつも、『次の編集後記には何を書こうか??』と探し物をしています、最近は。私の場合、多いのは電車の中です。電車の中で思いついたことを手に持っているものに書き留める。ノートを持っていれば上出来、本なら余白スペースに、論文なら裏返しにして書き留めます。

書かないと忘れるし、書くと別のアイデアが浮かぶし。書くという行為は大切ですね。

バームスコーポレーション 杉山

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