教師の“知恵”.netがお届けする教育MM「教師の“知恵”ぶくろ」
2008年2月27日 No279
読者数(5218人
このメールマガジンはオンラインでご覧ください
INDEX
01【算数】 ◆一番広い面積は,どんな形?
        間嶋 哲@新潟市教育委員会学校支援課
01.【算数】◆一番広い面積は,どんな形?
        間嶋 哲@新潟市教育委員会学校支援課  
 
1 全国学力テストB問題を克服するために
 約2年ぶりに授業を行いました。
全 国学力調査の問題点を洗い出し、新潟市検証改善委員会という組織で指導案を十分に検討したうえで行ったものです。当日は、中教審教育課程部会長でもある兵庫教育大学長の梶田氏を招き、新潟市内全校の研究主任等が参観しました。

2 公開授業は、こう進んだ
その日はじめて出会った子供達に、まず次のような課題を提示しました。
手作りクッキーで有名なお店が,こんな広告を出していました。
まわりが30cmになっている,いろいろな型を用意しました。
たったの100円です。オーブンでやく前の生地に,すきな型を選んで型ぬきをしてみましょう。






型は,このほかにも自分で作ることもできます。やわらかい針金で作ります。
ゆうきさんは早速,100円を持ってお店に行きました。クッキーが大好きなゆうきさんは,なるべくたくさん食べたいのです。でも,ゆうきさんは迷ってしまいました。

提示したのは、これだけです。算数の問題というと、すぐに「求めましょう」という問題が頭に浮かびます。しかし、それでは、結局与えられる問題でしかないのです。
まず、子供達に起立したまま一斉音読させた後、「ゆうきさんがどんなことに迷っていたのか、分かる人はすわりなさい」と指示しました。

私の授業スタイルに接したことが初めての子供達でしたが、全員がすわりました。これは、どの子どももこれだけの状況を読み取り、ゆうきさんの迷いを共有できたということなのです。

何人かの子どもに聞くと、「どんな形のクッキーを買おうか迷っていた」とか、「どのクッキーの面積が一番広いか迷ったと思う」という反応がありました。面積のことなど私は一言も言っていないのに、子供達は自ら課題を設定しているのです。

提示した4つの形は、実測値ではありません。その中で、どの形が一番面積が広そうか問うと、意外にも長方形が一番広いという反応が多く聞かれました。

次に実測値で自作した4つの図形を提示し、「この他にも考えられる図形はあるのか」と問いました。提示されている4つの図形以外にも、イメージできる図形をもれなくあげさせたかったのです。

子供達は、初めに提示した4つの図形以外に、次の図形をあげました。

 
平行四辺形  六角形  台形  ひし形  五角形

私が事前に準備してきた「直角三角形」「二等辺三角形」「一般三角形」も加え、それらをすべて並べました。

この中で、一番面積が広くなりそうな図形を問うと、「円」や「正方形」という声が聞こえました。確かに並べてみると、そんな感じはするのです。

「すぐに面積を求められそうな図形はどれかな」と聞くと、「正方形」「平行四辺形」という声、そして逆に「簡単には面積を求められない」図形を聞くと、「円」という声があがりました。それぞれについて、どのように求めていけばよいのか、簡単に図を使って説明させました。

普通なら、課題が示された後、すぐに自力解決となるのが常だと思いますが、私は、対象となる図形をたくさんあげさせること、そしてどのように求積するのか、ある程度の見通しをもたせることが必要だと考えたのです。

実は、今回の提案授業の一番のねらいは、そこにあったのです。

その後、一番広くなりそうな図形少し気になる図形の2つを選ばせ、取組ませました。

ある程度解決が終わったから、子どもが求めた様々な図形の面積をホワイトボードにまとめました。
三角形 正三角形 42.5  直角二等辺三角形50
四角形 正方形 56.25
五角形
六角形 (正六角形 64.5)
円 71から72くらい

 「これを見て、どんことが分かるか」と聞きました。ある子どもは、「円の面積が一番広い」と言いました。その考えは認めつつ、「だけど、このままだとまだ確実じゃないよね」と返しました。つまり、今調べているのはあくまでサンプルでしかないことを印象づけたかったのです。「同じ三角形でも面積が違う」という反応もありました。

 ここで、正六角形の面積を求めていた子どもに、結果を発表させました。

 「正六角形は64.5㎠でした」という発言後、私はズバリ「みんなはまだやっていないようだけど、正五角形の面積がどのくらいになりそうかな」と問いました。

 「六角形より小さくなると思う。なぜかというと、三角形は四角形より面積が小さいから、五角形は六角形よりも面積が小さいと思う」と発言しました。

表を見て、何かしらの規則性に気付いたのです。

3 久しぶりの授業で考えたこと
○ 一番自分の中で「鈍ったなあ」と思ったことは、子どもの言葉を増幅することが十分にできなかったことです。拙著「聞く・話す・読む・書く 4Rsを育てるスモールステップ」で、私が主張しているキァッチ&レスポンス能力が衰えていることが実感としてありました。

○ 私が出会った子供達は、分かったときは目が輝き、手が微妙に動きました。逆に、不安なとき分からないとき困ったときには、そういう顔ができるのです。こういう素直さというのは、実はとても大事なことだと改めて思ったのです。

○ この学習をやってみると分かりますが、まさに総合的な算数的活動です。たとえば円の直径を30÷3.14としても、当然そこでは答えを四捨五入して、つまり「まるめていく」思考が必要になります。面積の比較という目的からすれば、計算のささいな結果などは、実はどうでもいいことなのです。そして、図形の中には、実際に作図してみないと求積できなかつたり、そもそも作図自体も大変になる図形もあったりします。このようなことを体験させることこそ、実は全国学力テストB問題に対応する思考力・判断力・表現力をつけさせていく必須の条件なのです。

当日提示した指導案は、新潟市教育委員会学校支援課のHP(http://www.city.niigata.jp/info/gakusi/forum/forum2008.html)に掲載されています。ワードファイルになっていますので、興味ある方は、どうぞアクセスしてみてください。

 
    
 

教師の“知恵”.net

▼編集委員
・駒井 康弘(青森)
・藤倉 欣浩(秋田)
・間嶋  哲(新潟)
・今井 茂樹(東京)
・山田 繁則(愛知)
・今宮 信吾(兵庫)
・広山 隆行(島根)
・上向井 利之(広島)
・磯村 勇(山口・柳井)
・野口 政吾(山口・光)
・重枝 謙二(山口・山口)
・下瀬 昌巳(山口・宇部)
・香月 正登(山口・下関)
・岡田 定之(高知)
・米田 直紀(徳島)
・礒部 年晃(福岡・春日)
・木下 伸生(福岡・前原)
・佐藤 幸規(佐賀)
・宮脇 真一(熊本)
・橋元 泰幸(鹿児島)

▼編集長
・村田辰明(兵庫)
t_mura_1237@yahoo.co.jp
↑ご意見、研究会情報原稿はこちらへ

▼本号の編集担当
・間嶋  哲(新潟)

▼教師の”知恵”.net事務局
・田中 敬二(代表)
・桂  聖(ホームページ担当)
・坂本 哲彦(全国セミナー担当)
・山邊 文洋(山口セミナー担当)
・村田 辰明(メルマガ担当)
          

公式HP【教師の“知恵”たうん】へ