毎週月曜日発行第317号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
| 寒い日が続いてます。先週は胃腸疾患で来院する患者さんが多かったです。 |
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●甲状腺
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.UGAの気になる文献
■犬の副腎腫瘍の外科治療における予後因子の評価
Evaluation of prognostic factors in the surgical treatment of adrenal
gland tumors in dogs: 41 cases (1999-2005)
J Am Vet Med Assoc. January 2008;232(1):77-84.
Pamela Schwartz1, Janet R Kovak, Alexandra Koprowski, Lori L Ludwig,
Sebastien Monette, Philip J Bergman
1 Animal Medical Center, 510 E 62nd St, New York, NY 10021.
目的:副腎摘出を行った犬に対する術前の生存期間予測因子、術中・術後の合併症の評価、そして生存率を明らかにすること。
統計:回顧的症例検討。
動物:41頭の副腎摘出を行った犬。
方法:術前評価ならび術中と術後のさまざまな項目を収集した。収集項目は群わけし、生存期間に関してログランク検定ならびにコックスの危険比率を用いて評価した。中央生存期間はカプランメアーにより評価した。
結果:9頭の犬(22.0%)は退院できなかった。術中の死亡率は4.8%であった。全体を通してのカプランメアー中央生存期間は690日であった。様々な項目が生存期間の短縮と関連しており、それには、術前の衰弱、元気消失、血小板減少、BUNの増加、PTTの延長、ASTの増加、低カリウム血症、術中出血、そして同時に行った腎臓摘出などが生存期間の減少と有意に関連していた。術後には膵炎と腎不全が有意に関連していた。多変量解析において、術前の低カリウム血症、術前のBUNの増加、そして同時に実施された腎臓摘出が生存期間の減少と有意に関連していた。
結論と臨床関連:犬の副腎摘出は高い死亡率であったが、退院が可能であった症例は長期間生存した。生存期間の短縮と関連した術前の要因は衰弱、元気消失、血小板減少、BUNの増加、PTT時間の延長、ASTの増加、および低カリウム血症であった。今後の課題としてこれらの要因に対して治療を行うことで、副腎摘出を行った後に及ぼす影響と結果を変える事になるかもしれず、検討が必要なことがあげられる。犬の副腎腫瘍で同時に腎臓摘出を行わなければならないときと術中に大量出血を起こした場合には予後が良くない。(Dr.UGA訳)
●Dr.UGAの気になる文献
■下垂体腫瘤の犬の放射線治療と無治療での生存期間、神経学的反応、予後因子
Survival, neurologic response, and prognostic factors in dogs with pituitary
masses treated with radiation therapy and untreated dogs
J Vet Intern Med. 2007 Sep-Oct;21(5):1027-33.
Michael S Kent, David Bommarito, Edward Feldman, Alain P Theon
背景:犬の下垂体腫瘤は内分泌学的、神経学的徴候をおこすまれな腫瘍であり、もし治療しないまま放置すると余命を短くし得る。
仮説:放射線治療(RT)をした下垂体腫瘤の犬は神経症状が改善し、無治療の犬と比べて生存期間が長い。
動物: CT又はMRIで下垂体腫瘤を確認した犬19例に1日3Gy、計48Gy照射した。
方法:下垂体腫瘤の犬の臨床徴候、腫瘤の大きさ、転帰について回顧的調査を行った。
結果:治療群において中央生存期間に達せず、治療群の平均生存期間は1405日(95%信頼区間;1053-1757日)で、生存率は、それぞれ、1年が93%、2年が87%、3年が55%であった。下垂体腫瘤の放射線治療をうけた犬は無治療の犬より有意に(P=0.039)長く生存した。より小さな腫瘍の治療群の犬(最大で下垂体-脳の高さ比、または、腫瘍と脳の面積比を基にして)は大きな腫瘍の治療群と比べてより長く生存した(P=0.01)。
結論と臨床的重要性:無治療と比べて放射線治療は下垂体腫瘤の犬の生存期間を長くし、神経学的徴候をコントロールできた。 (Dr.HAGI訳)
●腫瘍系文献
■頸部脊髄の奇形腫の犬の1例
Teratoma in the cervical spinal cord of a dog
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Sep-Oct;43(5):292-7.
Michael A Wong, Christopher L Mariani, Joshua R Powe, Roger M Clemmons
11歳、避妊メス、ジャイアントシュナウザーが慢性進行性四肢麻痺のため来院した。画像診断により椎間板突出が認められ手術による減圧と固定が行われた。術後、改善することはなく、追加の画像検査において第7頚椎レベルの髄内腫瘍が示唆された。術後7日で安楽死が行われ、剖検により奇形腫と診断された。(Tako訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■下垂体性副腎皮質機能亢進症の犬における経蝶形骨性下垂体切除後の経過の予後因子
Prognostic factors for outcome after transsphenoidal hypophysectomy in dogs with pituitary-dependent hyperadrenocorticism.
J Neurosurg. 2007 Oct;107(4):830-40.
Hanson JM, Teske E, Voorhout G, Galac S, Kooistra HS, Meij BP.
目的:この研究の目的は下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)の犬における経蝶形骨性下垂体切除後の経過の予後因子を決定することだった。
方法:一人の獣医脳神経外科医が12年間以上でPDHの犬181頭の経蝶形骨性下垂体切除を実施した。カプラン・マイヤー法で生存分析を実施した。ステップワイズ多変量解析に続いて一変量コックス比例ハザード解析で予後因子を分析した。術後早期の尿コルチコイド/クレアチニン(C/C)比に従って区分した3つのグループにおいて無病期間を評価するためにログランク検定を使った。
結果:老齢、大きな下垂体、そして術前の高い血漿副腎皮質刺激ホルモン濃度は、PDH関連死のリスクの増加と関連があることが多変量解析で明らかになった。さらに、大きな下垂体、厚い蝶形骨、術前の高いC/C比そして高い血漿αメラノサイト刺激ホルモン(alpha-MSH)濃度は、下垂体切除後に寛解した犬において病気が再発するリスクと関連があった。術後のC/C比が正常上限(5-10
x 10(-6))である犬より、術後のC/C比が正常下限(< 5 x 10(-6))である犬の方が、無病期間が明らかに長かった。
結論:下垂体の大きさ、蝶形骨の厚さ、血漿αメラノサイト刺激ホルモン濃度そして術前の尿中コルチゾール排泄は、犬のPDHにおいて経蝶形骨性下垂体切除後の長期寛解の指標となることがこの研究結果から示唆される。術後〜10週での尿C/C比の測定は腫瘍再発のリスクを予測するためのガイドとして使用できる。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■プロリゲストンの使用で管理した3頭の下垂体性小人症のジャーマンシェパード
Use of Proligestone in the Management of Three German Shepherd Dogs with Pituitary Dwarfism
Sm Anim Clin Endocrinol. 2002 Sep-Dec;12(3):3.
C. B. Chastain, DVM, MS, Dip ACVIM , Dave Panciera, DVM, MS, Dip ACVIM
背景:下垂体性小人症はまれな疾患であるが、いくつかのジャーマンシェパードの家族に劣性形質が示されている。それは均衡性小人症、子犬の皮毛からなる二次毛の保持、一次毛の欠如、脱毛を起こす。他の下垂体ホルモン、特に甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン、性腺刺激ホルモンの欠乏がよく見られる。成長ホルモンによる治療は高価で、ヒト成長ホルモンに対する抗体を持つことが多く、その結果効果はなくなる。いくつかのプロゲスチンは、犬の乳腺組織から成長ホルモン分泌を促進させ、犬の下垂体性小人症の治療に有孔かもしれない。
要約:典型的な臨床症状、正常以下のインシュリン様成長因子-1(IGF-1)をもとに診断した下垂体性小人症の6-7ヶ月齢のジャーマンシェパード3頭(オス1、メス2)に、3週間おきにプロリゲストン10mg/kgを皮下投与した。臨床反応と血清IGF-1濃度を治療中モニターした。犬は正常な副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)反応試験結果を示し、正常な血清T4濃度だったが、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)投与後のT4反応は低下した。2頭の犬は、TRH投与後増加しない低い正常な血清TSH濃度を示した。1頭の犬はTRH投与後ほんのわずか増加したTSH濃度の上昇を示した。検出不可能な基底TSH濃度の犬2頭は、レボチロキシンで治療した。そのうち1頭はプロリゲストン投与前の37週間レボチロキシンを投与したが改善しなかった。
プロリゲストン投与開始から10週以内に全ての犬の皮毛の質が改善した。一次毛は最初尾の全体に見られ、背側、体幹と続いた。1頭はプロリゲストン投与を中止したら皮毛喪失が再発した。全ての犬は治療中体重が増加した。1頭は35週の追跡期間で治療のいかなる合併症も起きなかった。2頭の犬(オスとメス)で9週目と12週目に乳腺の発達が見られた。2頭で治療後28日目と81日目に頭部および頚部周囲の軟部組織形成増加、吸息喘鳴、歯間腔増加、足の腫脹などの末端肥大症の症状が見られた。1頭の16週目に再発性膿皮症が見られた。1頭で治療開始から87週目、投与中止から6週目に再発性の外陰部排泄物が見られた。
治療開始から96週目の卵巣子宮摘出術で嚢胞性子宮内膜過形成が見られた。犬の皮毛は避妊手術後3週間で劇的に改善した。オス犬は皮毛喪失が再発したので治療開始から117週目(プロリゲストンは57週目に中止)に去勢した。この処置の後皮毛は改善した。2頭の犬は末端肥大症、運動時の息が荒くなるなどの症状で投与を中止し、その後臨床症状の改善で治療を再開した。治療後全ての犬で血清IGF-1濃度が増加した。当初の用量で1頭の血清IGF-1濃度は増加しなかったため、プロリゲストンの用量を増加し、副作用は見られていない。3週間おきの15mg/kgプロリゲストン投与でIGF-1濃度は増加した。血清IGF-1濃度が200ng/mlを超えた2頭で末端肥大症の症状が出現した。レボチロキシンの投与を受けなかった犬で、血清T4濃度はプロリゲストン投与中に増加した。著者は、プロリゲストンが下垂体性小人症の治療にうまく使用でき、血清IGF-1濃度が200ng/ml以下になるよう調整すべきだと結論付けた。
臨床関連:プロリゲストン投与は、犬の下垂体性小人症の比較的安価な治療法である。プロゲスチン治療の効果は、乳腺からの持続性GH産生増加にかかわらず受け入れられると思われる。生理学的分泌は拍動性である。プロリゲストンは、メドロキシプロゲステロンのような他のプロゲスチンと比較して乳腺および子宮に対する副作用がより少ないためそれらの症例に選択した。この研究の3頭中2頭に乳腺発達、嚢胞性子宮内膜過形成が見られ、プロリゲストンに副作用がないわけではないことを示唆する。治療犬は不妊すべきである。IGF-1を200ng/mlを維持するより低い用量で副作用をより少なくし、許容可能な臨床反応を得ることが可能である。(Sato訳)
この病気は見たことがありませんが、治療の参考にしてみてはいかがでしょう
●はみだし文献訳
■猫における静脈内ヒドロモルホン投与の用量関連熱抗侵害受容性効果
Dose-related thermal antinociceptive effects of intravenous hydromorphone in cats
Vet Anaesth Analg. March 2007;34(2):132-8.
Kirsten Wegner, Sheilah A Robertson
目的:猫における静脈内(i.v.)ヒドロモルホン投与の用量関連熱抗侵害受容性効果を述べる
研究構成:無作為、盲検クロスオーバー研究
動物:7頭の成猫(3.5-7.4kg)。2頭は避妊済みメス、5頭は去勢済みオス
方法:ヒドロモルホン(0.025、0.05、0.1mg/kg)をi.v.投与した。皮膚温度と熱閾値を投与前と、投与後720分まで選択したポイントで測定した。各用量の平均熱閾値と全時間の皮膚温度、用量間の統計分析は、split-plot
modelとpost hoc Bonferroni t-testsにより行った。P<0.05を有意と考えた。
結果:平均熱閾値の基準からの有意差は、0.05mg/kg(5-80分、ピーク熱閾値46.9±6.2℃)と0.1mg/kg投与(5-200分、ピーク熱域値54.9±0.2℃)で認められた。5-200分の0.1mg/kgの熱閾値は、0.025mg/kg、0.5mg/kgと比べて有意に高かった。35-80分の0.05mg/kgの熱閾値は、0.025mg/kgと比較したとき有意に高かった。0.1mg/kg投与後35-140分で皮膚の温度は有意に上昇した。
結論:猫におけるi.v.ヒドロモルホンの用量関連抗侵害受容性効果が示された。
臨床関連:0.1mg/kg以下のヒドロモルホンは、中程度の抗侵害受容性効果と短期作用がある。0.1mg/kgの用量で、鎮痛作用の発現は効果の臨床的に有効な持続を伴って急速であるが、皮膚温度上昇に関与する。(Sato訳)
●甲状腺
■メス犬の繁殖に対する短期甲状腺機能低下症の影響
Effect of short-term hypothyroidism on reproduction in the bitch
Theriogenology. May 2007;0(0):.
D L Panciera, B J Purswell, K A Kolster
メス犬の甲状腺機能低下症は、発情間隔の変異、不妊、流産、死産を引き起こすと報告されている。この研究の目的は、メス犬の受胎能、妊娠、分娩、新生児の健康に対し、実験的に誘発した甲状腺機能低下症の影響を評価することだった。18頭の経産メス犬を研究した。9頭は甲状腺機能低下症を誘発させ(放射性ヨウ素投与)、残りの9頭は無処置コントロールとした。
交配後、妊娠、胎児吸収、妊娠の長さ、産子数、子宮収縮の持続と強さ(分娩中)、出産間隔、出生時の子犬の生存可能性、周分娩生存性、出生から4週までの子犬の体重を評価した。甲状腺機能低下症誘発後、中央値19週で交配させた。全てのメス犬は妊娠し、分娩日に出産した。発情間隔、産子数、妊娠の長さに群間の違いはなかった。コントロール犬よりも甲状腺機能低下症の犬は、子宮収縮の持続がより長かったが、収縮の強さは弱かった。しかし、子犬の出産間隔に影響はなかった。周分娩子犬死亡率は、甲状腺機能低下症の子犬で有意に高く、生存可能性スコア及び出生時の体重は有意に低かった。最初の4週間、出生から目が開くまでの期間、歩き出すまでの期間で子犬の体重増加に群間の違いはなかった。比較的短期間の甲状腺機能低下症は受胎能に影響しなかったが、周分娩期の分娩の延長、子犬生存性の低下が認められた。(Sato訳)
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●Dr.Xの今週のひとこと
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