2007年2月4日号

毎週月曜日発行第316号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
糖尿病の管理がうまくいかなくて困ってます。
CONTENTS

症例検討
Dr.UGAの気になる文献
Dr.HAGIの気になる文献
Dr.Kawanoの気になる文献
Dr.Satoの気になる文献
はみだし文献訳
糖尿病
掲示板から
Dr.Xのひとこと

症例検討

皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。

Dr.Kの気になる文献

■犬における真性糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症
Diabetes mellitus, hyperadrenocorticism, and hypothyroidism in a dog
J Am Anim Hosp Assoc. 1998 May-Jun;34(3):204-7.
R S Hess, C R Ward
要約
1頭の犬で見られた3つの内分泌障害の珍しい併発について記述します。6歳の避妊済、雑種犬が多飲多尿、多食、そして体重減少で来院しました。犬を真性糖尿病と診断しましたが、インスリン抵抗が疑われ、引き続き、副腎皮質機能亢進症と診断しました。さらに、持続性の高コレステロール血症から甲状腺機能低下症と診断しました。犬は内科療法に良く反応し、臨床徴候と生化学的変化は改善しました。多腺性内分泌障害を報告した論文はこれまで報告されておりません。(Dr.K訳)

Dr.UGAの気になる文献

■犬のリンパ腫の化学療法への反応と生存期間における独立した予後因子としての貧血の評価:96症例(1993〜2006)
Assessment of anemia as an independent predictor of response to chemotherapy and survival in dogs with lymphoma: 96 cases (1993-2006)
J Am Vet Med Assoc. December 2007;231(12):1836-42.
Andrew H Abbo, Michael D Lucroy

目的:貧血(Hct 37%以下)がリンパ腫の診断時に認められるか否かによって、化学療法を行っている犬の治療反応や生存期間における負の予後要因になるかを決定すること。

統計:回顧的症例検討。

動物:化学療法を行っていた96頭のリンパ腫の犬。

方法:シグナルメント、初回の血液検査データ、化学療法のプロトコール、臨床反応、そして死亡日が回顧的にリンパ腫の犬の医療記録から収集した。単変量、多変量、そして生存解析が初回の化学療法の反応と生存期間に対して貧血がもたらす影響を調べるために行われた。

結果:全体を通して、貧血でない犬(n = 56)は、貧血した犬(n =
40)に比べ化学療法を行った際の完全寛解率が4倍であった。貧血した犬の中央生存期間(139日)は、貧血でない犬の中央生存期間(315日)に比べると有意に短いものであった。犬の多中心型リンパ腫(臨床ステージと化学療法のプロトコールの一致が見られた)に関する部分分析において、貧血のある犬(n
= 24)の中央生存期間(101日)は貧血がみられない犬(24; 284日)と比較すると有意に短かった。他の変数は生存期間と関連しなかった。

結論と臨床関連:今回の調査より、化学療法を行っているリンパ腫の犬において貧血は負の予後因子の一つであることが示された。リンパ腫の犬の貧血の改善による臨床結果に与える影響については更なる調査が必要になるであろう。


腫瘍系文献

■心膜の細胞診所見から疑われた転移性心膜腫瘍の犬の1例
Metastatic pericardial tumors in a dog with equivocal pericardial
cytological findings
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Sep-Oct;43(5):284-7.
Carlo Guglielmini, Carla Civitella, Daniela Malatesta, Chiara Palmieri

6歳、メス、ミックス犬が心嚢水を伴う転移性腫瘍と診断された。超音波検査では、複数の高エコーの腫瘤が臓側および壁側心膜に付着していたが、細胞診では診断がつかなかった。腫瘤は心膜表面から突出しており、心臓の収縮に伴って振動していた。病理検査結果は心膜の多発性転移性腫瘍であり、原発は未分化胃腺癌であった。(Tako訳)

Dr.kawanoの気になる文献

■猫におけるクロピドグレルの抗血小板効果と薬物動力学
Antiplatelet effects and pharmacodynamics of clopidogrel in cats.
J Am Vet Med Assoc. 2004 Nov 1;225(9):1406-11.
Hogan DF, Andrews DA, Green HW, Talbott KK, Ward MP, Calloway BM.

目的:猫におけるクロピドグレルの抗血小板効果と薬物動力学を評価すること。

設計:オリジナル研究

動物:目的を持って繁殖した5頭の家猫

方法:75mgを24時間毎の経口投与で10日間、37.5 mgを24時間毎の経口投与で10日間、18.75 mgを24時間毎の経口投与で7日間、クロピドグレルを投与した。すべての猫において治療の間隔を少なくとも2週間あけて、この順番で投与した。投薬後3、7、10日(75 と 37.5 mg)あるいは7日(18.75mg)でアデノシン二リン酸(ADP)とコラーゲンに対する血小板凝集および口腔粘膜出血時間(OMBTs)を測定した。投薬前と投薬最後において、ADPあるいはコラーゲンによる血小板刺激に続き、血漿セロトニン濃度を測定した。薬の効果がなくなったかどうか決定するために投薬を中止した後に、血小板凝集、OMBTそしてセロトニン濃度をさまざまな時間で評価した。

結果:3つの投与量すべてにおいて、ADPに反応した血小板凝集、コラーゲンに反応した血小板凝集そしてセロトニンン濃度は明らかに減少し、投与期間中すべての測定時間においてOMBTは増加した。投薬中止後7日ですべての値が基底値に戻った。投与量の間に明らかな違いは見出されなかった。投薬と関連した副作用が見られた猫はいなかった。

結論と臨床関連:クロピドグレル18.75〜75mgの投与量での24時間毎の経口投与は、猫において明らかに抗血小板効果があることが結果から示唆される。(Dr.Kawano訳)

Dr.Satoの気になる文献

■犬好酸球性気管支肺疾患
Canine eosinophilic bronchopneumopathy
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2007;37(5):917-35, vi. 70 Refs
Cecile Clercx, Dominique Peeters

好酸球性気管支肺疾患(EBP)は、気管支肺胞洗浄液細胞標本の検査または気管支粘膜の組織検査で証明される肺および気管支の好酸球浸潤を特徴とする疾患である。EBPの正確な原因は不明だが、空気アレルゲンの過敏症が疑われる。診断は、典型的な病歴および臨床症状、細胞または組織検査による気管支肺好酸球増加の証明、下部気道好酸球増加のわかっている原因の除外に信頼を置く。多くの犬は経口コルチコステロイド療法にすばらしい反応を見せる。しかしこの治療の副作用により制限を受ける可能性がある。新しい治療アプローチが研究されており、エアロゾル療法の使用、シクロスポリン、Tヘルパー2免疫反応を防ぐ薬剤などである。(Sato訳)

肺炎のみきわめをしっかりしなければいけませんね。

はみだし文献訳

■犬の前立腺のラジオ波焼灼のためのコントラスト増強超音波
Contrast enhanced ultrasound for radio frequency ablation of canine prostates: initial results
J Urol. October 2006;176(4 Pt 1):1654-60.
Ji-Bin Liu, Daniel A Merton, Gervais Wansaicheong, Flemming Forsberg, Pamela R Edmonds, Xue-Dong Deng, Yan Luo, Laurence Needleman, Ethan Halpern, Barry B Goldberg

目的:犬モデルで前立腺癌の最小侵襲性治療として、前立腺全体のラジオ波焼灼(radio frequency ablation)に対するコントロール増強超音波の可能性を判定する。

素材と方法:Institutional Animal Use and Care committeeの承認を得た。最初の5頭(1群)は、最適なパラメーターを得るために従来のグレースケールパワードップラーとpulse inversion harmonic imagingにおいて、不定の出力(5-30W)、時間(4-12分)、超音波造影剤のボーラス(0.01-0.04ml/kg)および点滴(0.015μl/kgで3-11ml/分)を用い研究した。
その後、1群を基にしたパラメーターを用い、4頭(2群)に全前立腺焼灼を行った。熱的損傷と残存生存組織の大きさは、超音波と病理研究におけるImageJソフト(National Institutes of Health, Bethesda, Maryland)で測定した。統計分析に直線回帰およびスチューデントt検定を使用した。

結果:0.04ml/kgのボーラス、0.015μl/kgの11ml/分での点滴、pulse inversion harmonic imagingが焼灼のガイドに一番良かった。熱的損傷量は、焼灼出力と時間に正比例した。1群の測定した熱的損傷で、超音波と病理所見(平均+/- SD 1.51 +/- 0.74 and 1.46 +/- 0.74 cm3, p = 0.56)、または2群の残存生存組織(0.43 +/- 0.043 and 0.41 +/- 0.291 cm3, p = 0.21)に有意差はなかった。2群の前立腺焼灼の平均量は96.3%だった。

結論:コントラスト増強pulse inversion harmonic imagingは全前立腺ラジオ波焼灼のガイド、モニター、管理ができる。(Sato訳)

糖尿病

■犬真性糖尿病:表現型から遺伝子型
Canine diabetes mellitus: from phenotype to genotype
J Small Anim Pract. July 2007;0(0):.
B Catchpole, L J Kennedy, L J Davison, W E R Ollier

犬の真性糖尿病の感受性で犬種の違いは、この疾患の病因に対し、基礎遺伝的成分を示唆する。犬においてヒト2型糖尿病に相当する所見は少なく、犬の糖尿病は1型により匹敵すると提唱されている。確実な免疫反応遺伝子、特に抗原提示に関与する主要組織適合複合分子をコード化するものは、ヒト1型糖尿病に対する感受性を判定するのに重要である。我々は、犬主要組織適合性複合遺伝子(犬白血球抗原として知られる)が犬の糖尿病に関与するという仮説を検証する。
合計530頭の糖尿病犬と1000頭以上のコントロールの犬白血球抗原を分類し、関連を3つのハプロタイプで認めた。イギリスの犬集団で、DLA-DRB1*009/DQA1*001/DQB1*008ハプロタイプは、糖尿病に最も強い関連を示す。このハプロタイプは、糖尿病傾向犬種(サモエド、ケルンテリア、チベタンテリア)で一般的であるが、糖尿病抵抗犬種(ボクサー、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー)ではまれで、それら異なる犬種の糖尿病罹患率の違いを説明できた。DLA-DQA1*001は犬免疫介在性内分泌疾患に対する一般的な感受性のある対立遺伝子を表しえると示唆する甲状腺機能低下症にも関連するという所見がある。(Sato訳)

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●Dr.Xの今週のひとこと

おやすみ

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