2007年1月21日号

毎週月曜日発行第314号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
めずらしく雪が降りました。病院はどろどろです。。。
CONTENTS

症例検討
Dr.Kの気になる文献
Dr.HAGIの気になる文献
Dr.Kawanoの気になる文献
Dr.Satoの気になる文献
はみだし文献訳
腹腔鏡
掲示板から
Dr.Xのひとこと

症例検討

皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。

Dr.HAGIの気になる文献

■慢性腎疾患の猫の予後因子

Prognostic factors in cats with chronic kidney disease
J Vet Intern Med. 2007 Sep-Oct;21(5):906-16.
Jonathan N King, Severine Tasker, Danielle A Gunn-Moore, Gunther Strehlau, BENRIC (benazepril in renal insufficiency in cats) Study Group


背景:慢性腎疾患(CKD)は猫において罹患し死亡する一般的な原因の一つである。

仮説:一部の基礎項目がCKD猫の生存期間の短縮と関連性がある。

動物:飼い猫。

方法:血漿クレアチニン濃度が2.0mg/dl以上で尿比重(USG)が1.025以下のCKD猫に対してプラセボでベナゼプリルを比較した前向き臨床試験を実施した。我々は190例とプラセボ群95例に対して、最大1097日フォローアップし、「腎臓生存期間」への影響について調査を行った。腎臓生存期間は、治療の開始から、腎不全に関連した非経口的液体治療が要求された時点まで、もしくは、安楽死や死亡したときまでと定義された。

結果:プラセボ群の95例のうち、58例は生存中であり、37例は腎臓生存終点(死亡n=0,安楽死n=17, 非経口補液n=12,非経口補液後に安楽死n=8)に達した。血漿クレアチニン濃度の上昇、尿蛋白クレアチニン比(UPC)の上昇、血中白血球数の上昇が生存期間短縮と有意に関連性があり(P<0.01)、独立した危険因子であった。血漿リン濃度上昇、尿素濃度上昇、血中ヘモグロビン濃度もしくはヘマトクリットの低下もまた腎臓生存期間短縮と有意に関連性があり(P<0.01)、独立した危険因子であった。なぜなら、これらの項目は血漿クレアチニン濃度と有意に関係性があった(P<0.01)ためであった。

臨床的重要性:様々な項目がCKD猫の腎臓生存期間短縮の一部と有意な関連を認めた。(Dr.HAGI訳)

Dr.Kの気になる文献

■犬における気管虚脱と喉頭麻痺の鑑別のための呼吸音サイン
Sound signature for identification of tracheal collapse and laryngeal paralysis in dogs
J Vet Med Sci. January 2005;67(1):91-5.
Seong-Chan Yeon, Hee-Chun Lee, Hong-Hee Chang, Hyo-Jong Lee

要約

この研究の目的は喉頭麻痺と気管虚脱の犬の上部気道音が、正常な犬と比較して、明瞭な音特性があるかどうかを調査することです。喉頭麻痺の犬5頭の呼吸音と気管虚脱の犬5頭の呼吸音を記録しました。警笛音は気管虚脱の犬における、主な臨床徴候でした。喉頭喘鳴は喉頭神経切除により実験的に作成した喉頭麻痺の犬における主な臨床徴候で、2タイプ、IおよびIIの喘鳴があり、それを記録しました。これらの音全てを、音スペクトログラム解析を用いて解析しました。通常の咳、2タイプの喘鳴音、警笛音の間に、音の時間(sec)、強度(dB)、高さ(Hz)、第1フォルマント(Hz)、第2フォルマント(Hz)、第3フォルマント(Hz)、第4フォルマント(Hz)において有意差があり、音解析は、気管虚脱と喉頭麻痺の犬に対する有用な診断様式かもしれないと言うことを示唆しております。(Dr.K訳)

腫瘍系文献

■AAHA/AAFPによる犬と猫の疼痛管理ガイドライン
AAHA/AAFP pain management guidelines for dogs & cats
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Sep-Oct;43(5):235-48.
American Animal Hospital Association, American Association of Feline
Practitioners, AAHA/AAFP Pain Management Guidelines Task Force
Members, Peter Hellyer, Ilona Rodan, Jane Brunt, Robin Downing, James
E Hagedorn, Sheilah Ann Robertson

犬と猫の疼痛管理はここ10年で長足な進歩を遂げている。現在、疼痛の予測や予防とともに薬理学的ならびに非薬理学的な方法を用いた管理に焦点が当てられている。獣医療チームはオーナーに対してペットの疼痛に対する理解を促し管理について説明する役割を担う必要がある。(Tako訳)

Dr.kawanoの気になる文献

■犬のクッシング病:カベルゴリン治療
Cushing's disease in dogs: Cabergoline treatment.
Res Vet Sci. 2007 Sep 30 [Epub ahead of print]
Castillo VA, Gomez NV, Lalia JC, Cabrera Blatter MF, Garcia JD.
犬の下垂体性皮副腎皮質機能亢進症(PDH)の治療は原発性の原因であるコルチコトロフィノーマは治療することなく、長い間o-p'-DDD、ケトコナゾールそしてトリロスタンなどの薬で副腎を抑制することに焦点が絞られていた。副腎皮質刺激ホルモン産生細胞はドーパミン受容体D2受容体を発現します;従ってカベルゴリン(Cbg)は治療として効果的かもしれない。
0.07mg/kg/week のカベルゴリンで治療したPDHの40頭の犬を4年間経過観察した。40頭の犬のうち、17頭(42.5%)はカベルゴリンに反応した。治療1年後、ACTH(p<0.0001)、α-MSH (p<0.01)、尿コルチゾール/クレアチニン比 (p<0.001)は明らかに減少し、そして核磁気共鳴検査で腫瘍の大きさ(p<0.0001)も明らかに減少した。カベルゴリンに反応した犬はコントロールグループの犬に比べて明らかに(p<0.001)長く生存した。結論として、カベルゴリンはPDHの犬の42.5%に効果的で治療としての使用が認められる。(Dr.Kawano訳)

人では高プロラクチン血性下垂体腫瘍などの治療に週1回の服用(半減期43時間)で用いられる。また、パーキンソン病の治療薬としてドパミンD2受容体(麦角系)を刺激することを目的に使われている。

Dr.Satoの気になる文献

■犬前十字靱帯欠損膝関節の犬の脛骨粗面前進術による安定化
Tibial tuberosity advancement for stabilization of the canine cranial cruciate ligament-deficient stifle joint: surgical technique, early results, and complications in 101 dogs
Vet Surg. August 2007;36(6):573-86.
Sarah Lafaver, Nathan A Miller, W Preston Stubbs, Robert A Taylor, Randy J Boudrieau

目的:犬の前十字靱帯(CrCL)欠損膝関節の治療で、脛骨粗面前進術(TTA)の術式、早期結果及び合併症を述べる
研究構成:遡及臨床研究

動物:CrCL欠損膝関節(114)の犬(n=101)

方法:TTAを行った101頭の犬の医療記録を調査した。合併症を記録し、追加外科処置の必要性をもとにメジャー、またはマイナーな合併症に分けた。病院で、患肢機能の再評価及びエックス線学的治癒の時間を再調査した。更なる追跡調査はオーナーへの電話調査で入手した。

結果:31.5%の犬で合併症が起きた(12.3%メジャー、19.3%マイナー)。メジャーな合併症には、続発半月板損傷、脛骨骨折、移植失敗、感染、舐性肉芽腫、切開性外傷、膝蓋骨内方脱臼で、全てのメジャーな合併症は治療でうまく治った。2つ以外の全てマイナーな合併症は解消した。エックス線学的治癒を示すまでの平均期間は11.3週だった。最終的な患肢の院内再評価(平均13.5週)は93頭で記録され、跛行はなし(74.5%)、軽度(23.5%)、中程度(2%)、重度(1%)に分類された。2人を除く全てのオーナーは結果に満足しており、83.1%が顕著な改善、または受傷前の状態に戻ったと報告した。

結論:TTAはCrCL修復の代替法に匹敵し、良いから優良な機能結果が期待される。
臨床関連:TTA法は、犬のCrCL欠損膝関節の力学的安定を得るのにうまく使用できる。(Sato訳)

読んだ感じでは手技は簡単そうです。

はみだし文献訳

■兎における眼球後膿瘍の内視鏡下外科治療
Endosurgical treatment of a retrobulbar abscess in a rabbit
J Am Vet Med Assoc. March 2007;230(6):868-72.
David Martinez-Jimenez, Stephen J Hernandez-Divers, Ursula M Dietrich, Clara O Williams, Megan W Blasier, Heather Wilson, Paul M Frank

症例記述:1歳の不妊してないメスのネザーランドドワーフラビットを、3週間にわたる嗜眠、食欲減退、左片側眼球突出、過去の左上顎顔面膿瘍から瘻孔排泄、両側鼻汁の症状で検査した。

臨床所見:体重は1.0kgでボディコンディションスコアーは1.5/5だった。身体検査で全身の筋肉萎縮、両側粘液膿性鼻汁、重度左側眼球突出が明らかになった。診断的調査で、貧血、好中球増加、重度歯科疾患、左眼の表層角膜潰瘍、眼球後膿瘍が明らかとなった。

治療と結果:口腔鏡検査の補助のもと、歯のトリミング、抜歯、膿瘍デブリードメントを行った。抗生物質で歯の膿瘍腔の中を洗浄し、細胞所見、細菌培養と感受性試験結果をもとに抗生物質療法を開始した。最初の処置から2ヵ月後、眼球突出は最小限となり、更なる身体、エックス線、超音波変化は観察されなかった。

臨床関連:口腔鏡は、兎の歯疾患の診断、治療、一連の再評価を容易にする有効な手技である。(Sato訳)

腹腔鏡

■腹腔鏡下卵巣子宮切除中の卵巣茎止血に対する3つの方法の比較
Comparison of three techniques for ovarian pedicle hemostasis during laparoscopic-assisted ovariohysterectomy
Vet Surg. August 2007;36(6):541-7.
Philipp D Mayhew, Dorothy Cimino Brown

目的:腹腔鏡下卵巣子宮摘出術(LAOVH)中の止血に対する3つの方法の安全性、手術時間、合併症を述べる

研究構成:前向き無作為臨床試験

動物:雌犬(n=30)

方法:LAOVH中に卵巣茎止血を施す3つの方法のうち1つに犬を無作為に振り分けた。:対外Roederノット変法適応(縫合群)、マルチファイヤー10mm腹腔鏡クリップ装着機を使用したクリップ適応(クリップ群)、新しい5mmバイポーラ脈管シール装置(脈管シール群)
全ての犬は3つの正中ポート法を使用した。

結果:犬の体重を修正し、手術時間と使用した止血方法の間に有意な関連があった。各方法を使用した最初の5処置と2度目の5処置を比較するとこの関連は違っていた。20kgの犬で、最初の5処置の手術時間(95%CI)は、縫合群80(69-91)分、クリップ群68(57-79)分、脈管シール群33(21-45)分だった。2度目の5処置の手術時間はそれぞれ71(60-81)分、50(39-60)分、40(29-51)分だった。茎出血はクリップ群の全頭、縫合群の3頭、脈管シール群で0頭発生したが、すべて血行動態的に取るに足らないものだった。全ての犬は何事もなく回復した。

結論:全ての止血法は、茎切開に安全だった。学習曲線はクリップおよび縫合方法に存在する。
臨床関連:LAOVH時の脈管シール機器の使用は、有意に時間を短縮し、すばらしい止血を提供する。(Sato訳)

掲示板は http://6829.teacup.com/vmagazine/bbs


●Dr.Xの今週のひとこと

遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
新しい年が仕事で忙しく、いい年でありますように。
最近の出来事の中で耳についたことがあります。国がもっと獣医師を増やしたいので獣医大学を増やすことを検討してるみたいですね。地方の公務員に人員が足りないそうですが、獣医大学を増やして獣医の卒業生を増やしたら公務員が増えるか?疑問に感じるのは変でしょうか?

ご意見ご要望、Q&A、お待ちしております。特集を組んだりもいたしますので、テーマも募集しています。
≪掲示板を設置したので、そちらに書き込んでもらってもかまいません(^o^)丿≫

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【発行者】 Sato
訳者:編集委員 Dr.K Dr.Kawano 圓尾拓也 Dr.UGA Dr.HAGI

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