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| 教師の“知恵”.netがお届けする教育MM「教師の“知恵”ぶくろ」 2008年1月19日 No273 読者数(5122人) このメールマガジンはオンラインでご覧ください |
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| 01.【国語】◆ 謎とき「ひと朝だけの朝顔」 花生 典幸@青森県八戸市立白鴎小学校 |
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1.読む意欲をかきたてる「謎とき」 「謎とき 罪と罰」「謎とき カラマーゾフの兄弟」(いずれも新潮選書/江川 卓 著),「謎とき 村上春樹」(光文社新書/石原 千秋 著)……文学作品(教科書のレベルでは物語)を読む時,人は多くの場合,その作品を十全に(隅から隅までクリアに)理解したいと考えるものではないでしょうか。 ですから,「謎とき」は,いつの時代にあっても,ミステリーの範疇にとどまらず,物語を読む(読み解く)場合の重要な呼び水的なキーワードとして機能し続けているのでしょう。 子どもたちの物語の読みを例に,もう少し具体的に考えてみます。 たとえば,教材文になんらかの「謎」=※ しかけ(教材文を加工する/提示のしかたを工夫する)を施すことにより,教材文は別の顔を見せることになります。それは,次のような効果をもたらしてくれます。
たとえば,教材文として提示する物語や詩の中に,一部,内容を隠す形で空欄(穴あき)を設けて渡してみます。 すると,子どもたちは,そのそばから,「ここには何が入るのかな?」と興味津々のまなざしになって,前後の文に目を走らせ始めます。 また,説明文の学習の導入のところで,本文をバラバラに並べ替えて提示し,なにも言わずに「読んでごらん」とだけ告げて読ませたとします。 勘のよい子どもたちは,読み進めながら,「これはわざと文章を分解して並べてあるんじゃないのかな? 正しく段落を並べ替えるのが,今日の学習かもしれない」といった感じに,学習のめあてを先取りしてしまう,といったことすら,時には起こりえます。 教材文の中にめぐらせた「謎」,そして「謎とき」は,物語の読解を進める際に,一つの磁場のようなものをそこに形成してくれます。 『光村ライブラリー 10 中学年向き』に,「ひと朝だけの朝顔/井上 靖 作」という作品が掲載されています。この作品を用いて,提示のしかたを工夫して授業を行ってみました。 2.授業の実際 ◆ この授業でつけたい力 = 物語のストーリーや伏線をつなげて,展開を予想する力 → 思考力 ◆ 作品の中にめぐらせた謎と謎とき
『ひと朝だけの朝顔』という作品は,三十年以上前の教科書に掲載された作品です。 夏休み初日の朝にきれいな花をつけた,ぼくの家の朝顔の鉢をめぐって,物語は展開していきます。見せるだけのつもりで出かけた先で朝顔をあげる結果になってしまったり,ひょんなことからその朝顔がまた目の前に現れたり,それぞれかかわる人の思惑(善意)のすれ違いや勘違いによって,朝顔の所在が次々と移り変わっていくというのが,お話の柱になっています。 今回は,上に挙げた「つけたい力(物語のストーリーや伏線を読んで,展開を予想する)」との関連から,授業対象を6年生にしての実践です。
題名を後で考えてもらうということを予告し,まず配布した教材文を読んでもらいます。 登場人物とストーリーの流れを確認したところで,「お話を読んで,感じたこと,考えたことを発表してください」と発問します。 子どもたちからは,「主人公のぼくがかわいそうだ」「朝顔をもらった光子さんも悪気はなかったとは思うけど……」といった感想が出されました。感想を自由に交流させているうちに,やがて子どもたちの中から,「なんかこのお話はまだ続きがありそうだ」といった声が漏れ出てきます。 T.「どうしてそう思うの?」 C.「だって,主人公ががっかりしたままで終わりだと,なんかつまらない気 がするから」 C.「かんちがいしていて,朝顔が他の人の手にわたって終わり,というのだ と,お話の終わり方としてしっくりこない(この子は,お話の収まりが 悪いという意味のことを述べている)」 T.「実は,この物語には,みなさんが気づいたように,続きがあります。 さて,この後,お話は,どう展開していくと思いますか?」 子どもたちには,考える手かがりとして,次の二つのことを与えました。
小グループで話し合いながら,展開を考えさせていきます。 展開を予想するとはいえ,国語の場合,それを裏付ける“根拠”は欠くことのできない大切なポイントになります。この物語の展開として,無理がなく,また上に挙げた手がかりに合致しているかどうか等,物語のつじつまを合わせようと子どもたちは話し合いを深めていきます。 話し合いの後,グループごとに発表し,感想を交流し合いました。 C.「なるほど,そういう流れの方が,自分たちの考えた展開よりもおもしろ そうだ」 C.「意外な,ということでは,そういう展開もあるかもしれない……」 伏線をつなぎ合わせながら,物語の展開を予想する(=創作する)おもしろさを味わっているようすが,十分感得されました。 【
二つ目の謎は,伏せられた題名です。 この題名は,実は,主人公のぼくが,今回の朝顔をめぐるエピソードについて綴った作文につけた表題(それをつけたのは,ぼくではなく父親なのですが)と同一のものなのです。 T.「夏休みのぼくの作文(=物語の題名)には,どんな題名がついたと思いますか?」 『ひと朝だけの朝顔』という題名は,物語に描かれているエピソードを象徴するタイトルです。が,さすがに6年生とはいえども難しかったらしく,子どもたちはだれ一人,その題名にはたどり着けませんでした。 題名を考えることは,もう一度作品の外に立って,物語の流れ全体を包括的に見返す(伏線をつなげて読むと同様に)契機になりうるだろうと考えています。 自分たちが考えた題名とは違っていても,『ひと朝だけの朝顔』というタイトルが示唆する意味を確かめるように,子どもたちはもう一度“完成した=すべての謎がクリアになった”作品を読み返していました。 作品の中にめぐらす謎には,大小あるいは軽重(一発芸的なレベルのものから,作品全体を貫くものまで)さまざまなレベルのものが考えられます。 いずれにしても,その謎は,子どもたちを惹きつけるに足る魅惑性をはらみ,謎ときの後には,子どもたちそれぞれの中に生起するカタルシス(充足感・達成感)も十分に保障されなければなりません。 ミステリーの手法を物語の読みにリンクさせる,そのような意図での提案です。 ※ 「しかけ」という言葉は,山口県の香月先生の実践から示唆を受けました。 |
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