毎週月曜日発行第313号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
| 今年はしっかりと系統立てて診察できることを目標にしようと思っています。 |
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●咬傷
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.HAGIの気になる文献
おやすみ
●Dr.UGAの気になる文献
■猫の血管肉腫:53症例(1992〜2002)
Hemang Chad M Johannes, Carolyn J Henry, Susan E Turnquist, Terrance A
Hamilton, Annette N Smith, Ruthanne Chun, Jeff W Tyler
iosarcoma in cats: 53 cases (1992-2002)
J Am Vet Med Assoc. December 2007;231(12):1851-6.
目的:猫の血管肉腫の生物学的挙動と予後因子を特徴づける。
統計:回顧的症例検討。
動物:血管肉腫の猫53例。
方法:国立獣医学研究所、3つの獣医大学、そして一つの個人診療施設からのデータを集計した。
結果:発生部位は、内部臓器(胸部や腹部)や口腔よりも皮膚や皮下の方が一般的に多かった。外科的切除が最も主要な治療として47例の猫で行われた。皮下に発生したものより皮膚に発生したものでマージン(−)が得られやすいようであり、このことは生存期間の延長との関連が認められた。追跡調査が可能なもので、皮下に発生していた12例のうち6例で局所再発がみられた。初診時の段階で明らかな遠隔転移が、十分な検査を行えた13例中5例でみられた。6例目の猫では安楽死の時に肺転移が認められた。内部臓器の血管肉腫10例のうち4例では、診断は剖検により決定もしくは、診断の確定したときに安楽死が行われた。補助療法はあまり行われなかった。死亡もしくは安楽死と分かっている21例中18例では腫瘍に関連したものであった。高い有糸分裂指数(高倍率10視野中3より多い)が生存期間の短縮と関連していた。
結論と臨床関連:皮下に発生した血管肉腫は皮膚に発生したものより挙動が悪く、局所再発率が高く、結果として安楽死や死亡につながりやすいようであった。転移の可能性は皮膚と皮下に発生したもの共に以前の報告より高いかもしれない。内部臓器の血管肉腫は重篤な予後因子であった。(Dr.UGA訳)
●腫瘍系文献
■ピロキシカムと化学塞栓療法を行った嚢胞性鼻腺癌の猫の1例
Cystic nasal adenocarcinoma in a cat treated with piroxicam and
chemoembolization
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Nov-Dec;43(6):347-51.
Katia Marioni-Henry, Tobias Schwarz, Chick Weisse, Kathleen B Muravnick
13歳の去勢シャム猫が4ヶ月にわたり、繰り返す発作と両側性の結膜炎と鼻炎により来院した。脳と鼻腔のCTでは嚢胞性病変が頭蓋に認められ鼻腔に浸潤するとともに脳を圧迫していた。鼻腔の生検により鼻腺癌と診断された。抗生物質、フェノバルビタール、ピロキシカム、化学塞栓療法により治療され、診断後2年生存した。(Tako訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■健常猫と無症候性肥大型心筋症の猫の血清中の凝固マーカーの評価
Evaluation of coagulation markers in the plasma of healthy cats and cats with asymptomatic hypertrophic cardiomyopathy.
Vet Clin Pathol. 2007 Jun;36(2):167-72.
Bedard C, Lanevschi-Pietersma A, Dunn M.
背景:血栓症や動脈血栓塞栓症は、特に左房が拡張している猫の心筋症でよく見られる合併症である。活性化した凝固のマーカーは、左房サイズに関連した肥大型心筋症(HCM)の猫の凝固状態を評価するために役立つかもしれない。
目的:この研究の目的は、臨床的に健常な猫と肥大型心筋症の猫においてトロンビンーアンチトロンビン複合体(TAT)、D-dimerそしてフィブリン分解産物(FDP)の血漿濃度を比較することだった。プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)そしてアンチトロンビン活性も比較し、肥大型心筋症の猫において左房サイズと凝固結果との関連性について評価した。
方法:臨床的に健康な猫19頭と肥大型心筋症の猫20頭から血液を採取した。肥大型心筋症のすべての猫は無症候性で心疾患の兆候は見られなかった。超音波検査で左房の直径と左房から近位大動脈(Ao)径
(LA:Ao)比を測定した。
結果:健常猫の血漿中のD-dimerとTAT濃度の推奨範囲はそれぞれ0.09-0.32 microg/mL
と2.0-20.0 microg/Lで確立された。肥大型心筋症の猫でTAT、 D-dimerそして
FDP の濃度はそれぞれ5頭、3頭、2頭で増加した。TATとD-dimer濃度そしてPT と
aPTT はグループ間で明らかな違いはなかった。アンチトロンビン活性は著しい範囲の重複があったが、肥大型心筋症の猫で明らかに(P=.03)減少した。LA直径とLA:Ao比は凝固結果と関連性がなかった。
結論:過凝固状態の検査による根拠は肥大型心筋症の猫の45%で見出された。左房サイズは過凝固状態の検査による根拠と関連性がなかった。肥大型心筋症の猫において凝固マーカーと血栓症のリスクとの関連性はまだ評価されていない。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■最近譲渡された子犬(イエイヌ)で夜中の粗相及び障害の報告に対する犬鎮静フェロモン、他の環境および管理因子の影響を調査するプラセボ-コントロール研究
A placebo-controlled study to investigate the effect of Dog Appeasing Pheromone and other environmental and management factors on the reports of disturbance and house soiling during the night in recently adopted puppies (Canis familiaris)
Appl Anim Behav Sci. Jul 2007;105(4):358-368.
Katy Taylor, Daniel S. Mills
夜中の障害及び粗相は、新しい犬のオーナーが直面する一般的な問題である。それらは、典型的社会性動物における子犬の発育状況とその新しい環境及び/または分離不安のミスマッチの結果として起こるかもしれない。
この研究の目的は、このプロセスに影響するかもしれない犬鎮静フェロモン(DAP, Ceva Sante Animale)同様、ある程度の管理、環境因子の影響を検査することだった。DAPは、精神鎮静フェロモンの持続的提供により、新しい家に子犬を落ち着かせる手助けになるかもしれないと提唱されている。
これを検査するため、新しい家に迎えられる6-10週齢の60家系の子犬で、DAPの二重盲検プラセボ-コントロール試験を実施した。子犬の到着の2,3日前に、4週間フェロモン類似物質の徐放を行うよう作られたverumまたはプラセボのプラグイン散布装置をボランティアオーナーに提供した。オーナーには新しい家庭で最初の夜から8週間、前夜の障害と粗相を毎日報告してもらった。治療の効果と共に子犬の性別、その母親の環境、パピークレートの使用、他の犬と共に寝る、オーナーの体験を、夜の障害及び粗相の総数を説明する一般線形モデルに含めた。
他の犬と寝ることは、夜の子犬の不安傾向をほぼ0に減らした。単独で寝る子犬の70%以上は、最初の夜の間不安を感じていた。2ヶ月間の夜の障害平均総数は、その家庭でほとんど最初の週の5-6回の夜だった。狩猟犬腫のみの症例で有意なDAP処置の効果が見られ(p=0.003)、プラセボを処置した狩猟犬は中央値9回の夜に鳴き、verumを投与した犬は中央値3回の夜に鳴いた。粗相をする子犬の夜の総数にDAP投与の効果は観察されなかった(p>0.05)。しかし、夜の間クレートを設置した子犬(p=0.04)または母犬がいる環境から来た子犬(p=0.006)は、新しい家庭で最初の2ヶ月間、粗相の報告が有意に少なかった。(Sato訳)
DAPはビルバックから発売されています。お家に来たばかりの子犬はDAPで安心させることができるかもしれません。
●はみだし文献訳
■Hemoglobin Glutamer-200を投与した犬における血液学、生化学、血液ガス値の評価
Evaluation of Hematological, Chemistry and Blood Gas Values in Dogs Receiving Hemoglobin Glutamer-200
J Vet Emerg Crit Care. March 2007;17(1):37-44. 19 Refs
Marie E. Kerl, DVM, DACVIM, DACVECC, Paige F. Langdon, DVM, DACVIM, Charles E. Wiedmeyer, DVM, PhD, DACVP, Keith R. Branson, DVM, DACVA
目的:hemoglobin glutamer-200 (Hb-200)が健康犬の全血数(CBC)、生化学プロフィール、COオキシメトリー、ポイントオブケア(POC)テスティングに干渉する程度を評価する
構成:前向き縦断実験研究
場所:獣医教育病院
動物:目的を持って繁殖した研究ハウンド6頭
介入:犬にFDA承認ヘモグロビンベース酸素キャリアー(Hb-200)を、2時間かけて7.5ml/kgで静脈投与した。動脈および静脈血サンプルを投与前(0時)、投与後3、8、14、26、50、74、98、122、146時間目に採取した。
測定値と主要結果:どの犬にも副作用は認められなかった。Hb-200投与後に特徴的な粘膜、血清、血漿の色の変化が起こった。充填赤血球量、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、クレアチニン、コレステロール、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリフォスファターゼなどの検査値は基準より有意に低かった。平均赤血球ヘモグロビン濃度、動脈pH、動脈総二酸化炭素、動脈重炭酸イオン、アミラーゼ、アルブミン、総蛋白、グロブリン、カルシウム、リン、総ビリルビン、一酸化炭素ヘモグロビン、メトヘモグロビンなどの検査値は基準より有意に大きかった。全ての値は、146時間のモニター期間終了時に基準に戻った。
結論:正常犬でHb-200の投与は、多数の検査パラメーターで統計学的に有意な変化を引き起こす。それらの変化は危機的疾患の犬のケアで臨床的意義を持たないと思われる。(Sato訳)
●咬傷
■脊椎に及ぶ咬傷:7例の特徴、治療及び結果
Bite wounds involving the spine: Characteristics, therapy and outcome in seven cases
Vet J. June 2007;0(0):.
Orit Chai, Dudley E Johnston, Merav H Shamir
脊椎にいたる咬傷を受けた5頭の犬と2頭の猫の医療記録を再検討した。全ての犬は頚椎を咬まれ、四肢麻痺を呈した。2頭の猫は腰椎を咬まれた。1頭は不全対麻痺、1頭は対麻痺だった。脊椎以外の組織の随伴傷害が2例に見られた。全例に脊椎骨折のエックス線所見があった。治療は抗生物質(7/7)、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(4/7)、鎮痛剤(7/7)だった。5例は最小限(4/5)、広範囲(1/5)の外科的デブリードメントを行った。全ての頚部骨折はファイバーグラスキャストで安定化を計り、腰部傷害の動物は1ヶ月間ケージレストとした。6頭は生存し、1ヶ月で5頭は良〜優良の歩行可能にまで回復した。報告症例数は限られているが、この研究は適切な外科的でブリードメント、創傷ドレナージ、外部固定の組み合わせで脊椎の咬傷管理を十分できることを示す。(Sato訳)
●掲示板は http://6829.teacup.com/vmagazine/bbs
●Dr.Xの今週のひとこと
おやすみ
★ご意見ご要望、Q&A、お待ちしております。特集を組んだりもいたしますので、テーマも募集しています。
≪掲示板を設置したので、そちらに書き込んでもらってもかまいません(^o^)丿≫
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【発行者】 Sato 訳者:編集委員 Dr.K Dr.Kawano 圓尾拓也 Dr.UGA Dr.HAGI
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