●労災認定の流れ
労災の給付は、被災労働者が事業主の証明の下に労働基準監督署長
に請求し、労働基準監督署長がその請求を認定することで給付される、
というのが流れなのですが、
1.事業主が、業務災害と認める証明をしてくれない場合は?
事業所管轄の労働基準監督署長に申し立てます。
事業主印のない請求書に、申立書(正式な書類ではありませんが
被災し、事業主に証明を求めたが証明を得られなかった経過を
記載します)を添えて、労働基準監督署に提出します。
その際、業務災害の状況、もし過労による疾病の場合であれば、
具体的な勤務実態を示す証拠(取れる範囲でいいので、タイムカードの
コピー、給与明細、残業記録等)及び医師の診断書等の証拠書類も
添付します。
この申立を受けて、労働基準監督署労災課は、事業主に連絡、事情の
説明を求めます。
その上で、労災に該当するか否か、労働基準監督署長が判断します。
2.労働基準監督署長の判断がNOだった場合
労災の請求には、事業主の証明があったほうが、それは物事はスムーズに
運びます。
しかし、事業主の証明の有無に係らず判断するのは労働基準監督署長
です。
労働基準監督署長が、この災害は業務災害にあらず、と判断した場合
にするのが、審査請求です。
審査請求は、労働基準監督署に備えられている審査請求書に
必要事項を記入し、都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官に
対して行います。
審査請求で決着がつかなければ再審査請求、と二審制となっています。
これでも、決着しない場合、どうしても不服である場合に処分取消の訴えを
裁判所に起こす=つまり裁判に委ねるということになります。
裁判は、地裁→高裁→最高裁となります。
そこで、10年の長きにわたる訴訟の結果の認定、というケースも生まれる
のです。
●西尾の解説
ここで実際の事例から是非、皆様にお話しておきたいことがあります。
私の知り合いで、残業続きで循環器系の病気を発病、お亡くなりになった方
がいました。(私が社労士になる勉強を始める前のことです)
その方の奥様は、残業続きで過労だから労災が下りないかな?と思い
会社に相談したところ、「会社の恥になるから会社のハンコは押せない!」
とけんもほろろに断られ、ハンコがないなら労働基準監督署が認めて
くれないと思い、泣く泣く請求を諦めたと後に話してくれました。
このような場合、会社が証明してくれなくても、請求書と申立書で労災の
裁定請求はできます。
監督署長の認定が下りるかどうかはその後の話ではありますが、
請求は可能なので、会社の証明がないから諦める、必要はありません。
是非、そのことは覚えておいていただきたく思います。