毎週月曜日発行第312号
まぐまぐID:0000081728
melma ID:m00063306
| みなさま今年もよろしくお願いいたします。もっと読みやすく訳すことを目標にがんばっていこうと思います。 |
CONTENTS
●症例検討
●Dr.UGAの気になる文献
●Dr.HAGIの気になる文献
●Dr.Kawanoの気になる文献
●Dr.Satoの気になる文献
●はみだし文献訳
●イミダプリル
●掲示板から
●Dr.Xのひとこと
■症例検討
皆さまのご意見又は症例をお待ちしております。診断、治療プロトコールなど、情報交換を行っていければと思っています。頂いたご意見は、まとめて次号からお送りしようと思っています。
●Dr.HAGIの気になる文献
■<犬の多中心型リンパ腫のCoapとUW19プロトコールの比較>
Comparison of Coap and UW-19 Protocols for Dogs with Multicentric Lymphoma
J Vet Intern Med. 2007 Sep-Oct;21(6): 1355 1363
Kenji Hosoya, William C. Kisseberth, Linda K. Lord, Francisco J.
Alvarez, Ana Lara-Garcia, Carrie E. Kosarek, Cheryl A. London, and C.
Guillermo Couto
背景:犬のリンパ腫の治療に対して様々な化学療法のプロトコールが報告されている。しかしながら、異なる研究からのプロトコールの比較、特に、生存期間と毒性を評価することは難しい。
仮説:リンパ腫の犬においてCOAP (C, サイクロフォスファミド; O, ビンクリスチン; A, シトシンアラビノシド; P,プレドニゾン)と修正されたウィスコンシン大学19週(UW19)導入プロトコールのどちらを選択しても特に生存期間に影響はない。
動物:101頭の多中心型リンパ腫の犬
方法:回顧的研究(2001〜2006)。8週COP(C, サイクロフォスファミド; O, ビンクリスチン; P,プレドニゾン)で導入しCOAPで維持を行ったもの(COAP群)もしくは19週CHOP ((C, サイクロフォスファミド; H,ドキソルビシン; O, ビンクリスチン; P,プレドニゾン)を基本としたプロトコル(UW19群)を実施し、初回寛解期間、生存期間、毒性、費用に関して比較を行った。
結果:COAP群は71例、UW19群は30例で実施した。再燃後には様々なプロトコールが用いられた。COAPとUW19群の最初の中央寛解期間はそれぞれ94日(範囲:6〜356日)と174日(範囲:28〜438日)であった(P<0.01)。犬の中央生存期間はCOAP群とUW19群でそれぞれ309日(6〜620日)、275日(70〜1102+)であった(P=0.09)。交絡因子(WHO臨床ステージ、年齢、性別、再導入でのドキソルビシンの使用)を補正すると、COAP群の犬は死亡の危険率がUW19群(P=0.03)と比較して1.9倍(95%信頼区間1.1〜3.4)であった。好中球減少症と胃腸障害毒性の重症度はCOAP群よりUW19群において有意に高かった。
結論と臨床的重要性:長期間ドキソルビシンを含む連続併用化学療法プロトコールはドキソルビシンを含まないプロトコールの一例と比べたところ再燃の危険性が少ないとともにと化学療法に関連した死亡の危険性が低かった。(Dr.HAGI訳)
●Dr.UGAの気になる文献
■猫に対してプロポフォールを含む麻酔を反復投与したときの臨床評価
Clinical assessment of repeated propofol-associated anesthesia in cats
J Am Vet Med Assoc. November 2007;231(9):1347-53.
Carla Rohrer Bley, Malgorzata Roos, Jill Price, Katja Ruess-Melzer,
Julia Buchholz, Valerie Poirier, Barbara Kaser-Hotz
目的:猫において、プロポフォール含む麻酔の反復投与による麻酔覚醒の質、臨床症状、そして赤血球の状態の影響を評価すること。
統計:初期研究。
動物:放射線治療のために短時間麻酔を行った37例の猫。
方法:5日連続で一日2回、13頭の鼻端に扁平上皮癌を患った猫に麻酔が施された。初めは、プロポフォールもしくはミタゾラム( 0.2mg/kg[0.09mg/lb])とプロポフォールのコンビネーションを用いていたが、その後ケタミンとミタゾラムの連日投与が行われた(後者のデータは分析されなかった)。19日間、24頭のワクチン関連肉腫の猫(グループ2)に対してプロポフォールもしくはミタゾラムとプロポフォールのコンビネーションで12回の麻酔が行われた。両グループとも麻酔はプロポフォールで維持された。血液検査が麻酔前、麻酔中、そして放射線治療の終了時に行われた。両グループ間におけるヘマトクリットとヘモグロビン濃度の変化が比較された。
結果:麻酔平均時間は8.1分であった。(範囲:5〜20分);麻酔覚醒時に副作用はみられなかった。プロポフォールの総投与量はグループ1(6.34mg/kg[2.88mg/lb])とグループ2(4.71mg/kg[2.14mg/lb])の間で違いは無かった。ミタゾラムの投与はプロポフォールの投与量を26%減らした。全体を通して、ヘマトクリットとヘモグロビン濃度の基準値からの減少、また臨床学的な重要性という点においても両グループ間において有意な違いはみられなかった。しかしながら、基準値と比較すると、それぞれのプロトコールにおける6回および12回終了後の両グループ間の値は有意に低かった。放射線治療の間、両グループで少数のハインツ小体が確認された。
結論と臨床関連:結果より、プロポフォールを含む短時間麻酔の繰り返しは猫の短時間の放射線治療において、臨床学的に重要性のある血液学上の変化はみられなかった。(Dr.UGA訳)
●腫瘍系文献
■犬の消化器型リンパ腫30例(1997-2004)の臨床結果
Clinical outcomes of 30 cases (1997-2004) of canine gastrointestinal lymphoma
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Nov-Dec;43(6):313-21.
Joseph David Frank, S Brent Reimer, Philip H Kass, Matti Kiupel
30例の犬の消化器型リンパ腫について検討した。発生部位は、胃、小腸、大腸に孤立性もしくは2ヵ所以上の部位に認められた。治療法として、切除のみ(4例)、切除と化学療法(8例)、化学療法単独(15例)もしくは支持療法のみ(3例)であった。4例は死亡、24例は安楽死を行い、2例は現在も生存している。全体の生存期間中央値は13日であった。生存している2例は大腸に発生したものであった。犬の消化器型リンパ腫は重症疾患とされるものの一つであり予後は不良である。しかし、結腸直腸に発生するものはより長期の生存が可能かもしれない。(Tako訳)
●Dr.kawanoの気になる文献
■犬と猫の緊急診察所の受診と太陰周期:11940症例(1992-2002)
Canine and feline emergency room visits and the lunar cycle: 11,940 cases (1992-2002).
J Am Vet Med Assoc. 2007 Jul 15;231(2):251-3.
Wells RJ, Gionfriddo JR, Hackett TB, Radecki SV.
目的: 太陰周期に関係した犬と猫の緊急診察所の受診頻度を決定すること。
方法:回顧的症例シリーズ
動物:11年間で緊急対応として評価した11940頭の犬と猫
方法: 緊急受診日、シグナルメン、そして主訴を診療記録データベースから検索した。緊急のタイプを動物による咬傷、心停止、てんかん、眼科、胃拡張―胃捻転、外傷、多発性疾患、腫瘍あるいは中毒に分類した。月相との関連性を評価し、新月、既朔、上弦、幾望、満月、既望、下弦を記録した。緊急対応の頻度における月相の影響を、相対的なリスクを算出することで評価した。
結果: 11940頭のうち9407頭が犬で2533頭が猫だった。相対的なリスク補正によると、すべての他の日と比べて、より満ちた月の日(幾望から既望)における犬と猫の緊急対応は明らかに増加していた。
結論と臨床関連:より満ちた月の日は犬と猫の緊急処置の対応がより多いことが結果から示唆された。緊急症例が少ない病院で行ったこの研究で観測された来院数(それぞれ0.59と0.13のより多くの犬と猫)が断片的に増加していることには主治医は気付きにくい。緊急症例の多い病院でこの研究を繰り返すと、これらの結果はより満ちた月の日に勤務した再編成を導くかもしれない。臨床関連を決定するためには緊急症例が多い施設でのこれらの調査結果を評価する前向き研究が必要である。(Dr.Kawano訳)
■獣医教育病院に来院した犬のメチシリン耐性ブドウ球菌細菌叢
Methicillin-resistant staphylococcal colonization in dogs entering a veterinary teaching hospital.
Vet Microbiol. 2008 Jan 1;126(1-3):277-81. Epub 2007 Jun 22.
Hanselman BA, Kruth S, Weese JS.
オンタリオ獣医大学教育病院に受診した193頭の犬の鼻、腋窩と直腸からスワブを採材した。特殊添加培養を実施し、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌が標準的な方法で検出された。メチシリン耐性Staphylococcus pseudintermediusが193頭中4頭(2.1%)の犬で分離され、メチシリン耐性Staphylococcus aureuとメチシリン耐性Staphylococcus schleiferi subsp. Coagulansは193頭中1頭(0.5%)で分離された。メチシリン耐性Staphylococcus intermediusは分離されなかった。すべての分離されたStaphylococcus pseudintermediusはパルスフィールドゲル電気泳動法では無関係だった。これらの菌株の明らかな発現を理解し、適切な治療戦略を開発するために、メチシリン耐性ブドウ球菌細菌叢の疫学調査が必要である。(Dr.Kawano訳)
●Dr.Satoの気になる文献
■シェルターからの犬のハウストレーニングがうまくいくようにするオーナーへの譲渡前のカウンセリングの効果
Effects of preadoption counseling for owners on house-training success among dogs acquired from shelters
J Am Vet Med Assoc. August 2007;231(4):558-62.
Meghan E Herron, Linda K Lord, Lawrence N Hill, Ilana R Reisner
目的:シェルターからもらい受ける犬のハウストレーニングはうまくいくようにするため、オーナーへの譲渡前のカウンセリングの効果を確かめる
構成:前向き研究
サンプル集団:11頭の犬のオーナー
方法:参加者は無作為に処置群(n=54)とコントロール群(59)に振り分けた。処置群のオーナーには、ハウストレーニングに関するカウンセリングを行った(5分間)。コントロール群のオーナーにカウンセリングは行わなかったが、そのほかの譲渡手順は全て処置群と同一のものを行った。全ての参加者に1ヵ月後電話による調査を行い、標準調査方法を使用しハウストレーニング状態及び関連問題に対する評価を行った。データは群間比較した。
結果:ほとんどの譲渡された犬は、1ヵ月後オーナーによるハウストレーニングが成功したと考えられた。さらに、コントロール群のオーナーよりも譲渡前のカウンセリングを行ったオーナーによりハウストレーニングが成功した犬のほうが多いと考えられた(86.4%vs98.1%)。コントロール群のオーナーよりも、カウンセリングを受けたオーナーは、犬に対しハウストレーニング中に言葉でしかる頻度が少なく、尿-、糞-で汚れたところに酵素クリーナーを使用する頻度が多かった。
結論と臨床関連:結果は、短時間の譲渡前のカウンセリングが、オーナーによるシェルターから譲渡された犬のハウストレーニングの成功率をより高めることを示唆している。このようにペットを飼うときのオーナーへのカウンセリングは、不適切な排泄行動を防ぐのに有効かもしれない。獣医師とアニマルケアスタッフは、ハウストレーニング同様他の健康管理及び行動学的ニーズに対し、新しいペットオーナーにカウンセリングする時間を割くようにすべきである。(Sato訳)
初めてペットを飼われる方への子犬のときの飼い方説明は重要ですね。
●はみだし文献訳
■心疾患の猫の食餌パターン
Dietary patterns of cats with cardiac disease
J Am Vet Med Assoc. March 2007;230(6):862-7.
Danielle S Torin, Lisa M Freeman, John E Rush
目的:心疾患の猫の食餌摂取と食餌パターンを調査する
構成:前向き研究
動物:先天性心疾患または原発性心筋症の猫95頭
方法:オーナーに猫の食餌に関する標準的な電話による聞き取りを行ない、カロリー、脂肪、蛋白、ナトリウム、マグネシウム、カリウムの日々摂取量を判定するのに24時間の食餌を再現した。
結果:95頭の猫のうち、18頭(19%)はうっ血性心不全の病歴があり、73頭(77%)は心疾患の臨床症状はなかった。55%(52/95)の猫は併発疾患があった。全ての猫の38%(36/95)、うっ血性心不全の病歴を持つ猫の72%(68/95)で食欲不振が報告された。多くの猫(57%[54/95])は、定期的におやつや食べ残しをもらっていた。約半数の猫は薬剤、サプリメントまたはその両方を経口的に投与していた。34%(32/68)のオーナーのみ、猫に薬剤を投与するのにフードを使用していた。猫は蛋白、ナトリウム、カリウム、マグネシウムに対しAssociation
of American Feed Control Officials (AAFCO)の最小値以上を消費し、ほとんど全ての猫は脂肪もそうであった。日々の栄養摂取は、評価した栄養素すべてで変動した。
結論と臨床関連:心疾患の猫の食餌摂取は変動するが、食餌サプリメント使用、薬剤投与のためのフード使用、与えるおやつの結果は、心疾患の犬の同様の研究で見られたものと異なっていた。この情報は、心疾患の猫の治療、栄養研究の構成に有効と思われる。(Sato訳)
●イミダプリル
■鬱血性心不全の犬におけるイミダプリルの臨床評価:EFFIC研究の結果
Clinical evaluation of imidapril in congestive heart failure in dogs: results of the EFFIC study
J Small Anim Pract. May 2007;48(5):265-70.
B Besche, V Chetboul, M-P Lachaud Lefay, E Grandemange
目的:軽度から重度の鬱血性心不全(New York Heart AssociationステージII-IV)を呈す犬におけるイミダプリルの臨床効果と安全性を、非劣性アプローチによる陽性コントロールのイミダプリルの成功率と比較することで評価した。
方法:このgood, clinical practice compliant, multicentre study (EFFIC study)にフランス、ベルギー、ドイツの20箇所の142頭の飼育犬を研究した。この研究で犬は種々の犬種、年齢、体重だった。2群に無作為に振り分け、84日間テスト製剤イミダプリルまたは陽性コントロールベナゼプリルを投与し、同時に追跡調査も行った。両薬剤とも0.25mg/kgで1日1回投与し、臨床観点から必要と考えられたときは、倍量の0.5mg/kgを投与した。また、肺水腫、および・または腹水、上室整不整頻脈、および・または拡張型心筋症を呈した犬は随伴治療を行った。New
York Heart Associationステージの進展、”機能的症状”スコアを主な効果の基準として評価した。
結果:イミダプリル群の成功率は66%、ベナゼプリル群は68%だった。安全性に関し、各群の35頭は最低1つの副作用を呈した。各群の9頭は少なくとも1つの重度副作用を呈した。それらの結果に有意差は見られなかった。
臨床意義:イミダプリルは参考とした製剤のベナゼプリルと同様の効果と安全性を示した。(Sato訳)
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●Dr.Xの今週のひとこと
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