遠い昔、セーラー服を着ていた頃は、文學少女でした。スリムのGパンによれよれのTシャツを着ていた頃は、デザイナーを目指していました。でも、もしかしたら、ずっと詩は書いていたかな?と、今思い返しています。絵本の形に実を結ぶお話の種は、きっと、ずうっと前に、そっと私の中に撒かれていたのかもしれません。少しずつでも、詩を書き続けていたのは、その種に水をやり続けていたことなのかな?なんて。
大人になって、母親になって、自分の小さなこども達と遊ぶうちに、膨らんだ種が芽をふいて、するすると茎を伸ばし思いがけない花が咲きました。頭で考えているうちは、ちっとも小さなこどもたちの絵本を創る事ができませんでした。こども達と遊びながら、楽しみながら、歌う様に……思えば、最初のフレーズ「いちに、いちに、いちにの さんぽ」は、こうやって出来てきたのではないかと思います。絵本、とりわけ初めてその世界に出逢う、小さなこども達の絵本を創る時には文を読んだ時の心地よさを大事にします。赤ちゃん絵本という分野では、必ず絵本とこども達の間に読み手が介在します。それは、お母さんだったり保育士さんだったりする訳ですが、読み手の人が読んだ時に心地よい文章は、そのひとの表情を和らげ、声をまるくして、必ず楽しい読み聴かせになるだろうと思うのです。
擬態語、擬声語ということばも、その応援をしてくれます。たとえば、こどもを前にして、無表情で「かめが、きもちよさそうに、おふろにはいっています。」と言うことはできますが、「とぷ とぷ とぽ とぽ かめおふろ とぽ とぽ とろーり いいきもち!」と、何の感情も出さずに読む人は、相当偏屈な人ではないでしょうか?まだ8ヶ月の赤ちゃんが、絵本を読んでもらって、足をバタバタさせて喜んだ、という感想を頂いた時に、私は絵本を読んだお母さんの顔を想像しました。きっと、とっても良い表情をしてらしたのではないかと思います。赤ちゃん絵本は、そんな風に、読み手と赤ちゃんがいる空間を幸せなものにする事がいちばん大切なことなのではないかと思います。そう、心がぽかぽかしてくるような……。そして、私の中で育って生まれた絵本が、じゅんぐりに、今度は、その絵本を読む赤ちゃんの中に、小さな種を撒く事ができたら、なんて素敵な事でしょう!
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著者紹介
ひろかわさえこ |
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1953年小樽市に生まれる。
武蔵野美術大学商業デザイン科卒業。コンピューターで調べてみると、今まで100点以上の作品を発表しています。特に赤ちゃん絵本では、言葉を大事にした作品が多く、幅広い支持を受けています。 |
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