| 号 | あらすじ |
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| (0) | 2月19日発行の1号からお読みください。
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「K」と呼ばれる店にはクラシック音楽の
コレクションがあり、彼はいつも愛着のある席に座
る。
一年半ほど前に、彼は「K」でけい子と 知り合い、親しくなるが不本意な別れ方をする。帰 り道にある「スナック」でルミに出会い、その部屋 に通うようになる。 「K」でけい子邂逅し、その部屋を訪れると、ルミ について詰問された。 |
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彼はずっとルミに付きまとっていたケンという男に
脅された。引っ越してしまったけい子への繋がりを
彼は探した。
ルミと別れようとするが、出来ずに抱いてしまう。
彼はルミの肉体については知っている。一方、けい
子の存在は「6の感性」で感じていたのだ。 ルミと会わないと決心した彼は、けい子の居たアパ ートの郵便受けの前で声を掛けられた。 |
聞き覚えのある女の声、けい子ではない、ルミでも
ない。彼は一瞬凍りついた。この声はいったい誰か
。しかし恐ろしくて振り向くことができない。
「愛本さんですよね!」
再び厳しく詰問するような声。恐る恐る振り返ると
、見覚えのある顔があった、けい子の隣室の女、名
前は覚えていない。
「はい」
と返事をしたものの、なぜこの女が自分の名前を知
っているのかと訝りながら、いまだ信じられずに目
を見開いたままでいる。
黙ったままでいる彼にかまうことなく女は続ける。
「けい子さんは結婚します。来週の日曜日午後2時
、場所は渋谷の××協会です。参列は自由ですので
、ぜひお祝いに行ってあげてください」
思いもしない報告に、彼は戸惑うばかり。
「お相手は、石崎さん」
初めて聞く相手の名前。ますます不安が増していき
、思わず問いかけた。
「石崎さん?」
「けい子さんの大学時代の先輩です、2年ほど前に
結婚を申し込まれて、ようやく決心が付いたそうで
す」
いったい何のためにこんな報告をしてくれるのか、
彼は完全に混乱していた。
「失礼します」
意味ありげな微笑を浮かべて一礼すると、隣の女は
階段を上がって行った。
いったい何のために結婚式の詳しい予定を教えてく
れたのか。
毎日毎日ストーカーのようにアパートの周りをうろ
ついている彼に、最後通牒を突きつけるためなのだ
ろうか。彼はこのアパートの周辺で、誰にも悟られ
ないよう充分に注意を払ってきたつもりだ。しかし
、現にこうして声を掛けられてしまった。
あるいは、彼が、けい子と親密になりつつあったに
もかかわらず、ルミと関係を持ってしまったことに
対して、怒りをぶつけているのか。
「あたしにだっていいひとはいるんだから
」
と捨て台詞のように彼女が言った言葉を思い出した
。もしそうならば結婚の報告だけで充分なはずだ。
いや、結婚式に招待するということは、自分を裏切
った彼に対して、こうして幸せなのだと見せびらか
すためなのか。
それとも、映画にあった一シーンのように、結婚式
の真最中に花嫁を奪いに来いというのか。だから、
具体的な式の場所と日取りまで、さらには参列が自
由ということまで、わざわざ隣の女を通じて教えて
くれたのか。
しかしながら、この可能性は限り
なくゼロに等しい。他の女に走った男が許されるは
ずはないのだから。
聞き慣れたバッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調
の低音が、静かに流れている。
彼はいつの間に
か「K」の、あの通風孔の席に座っていた。
バッハは彼の魂を広大な絶望の砂漠へと導く。いや
、今や手繰り寄せようとする一本の希望の糸さえも
完全に断ち切って、奈落の淵の奥底に突き落として
しまった。求めても求めても、バッハは遠のいて無
限遠点の果てまで拡散してしまった。
どうしよ
うもないほどの孤独な遠隔地に至ってしまった自分
に身震いして振り返っても、もはや出発点にけい子
の微笑はなかった。
「やあ」
彼は肩を叩かれて我に返った。
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「6の感性」
の詳しい説明は |
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