| 号 | あらすじ |
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| (0) | 2月19日発行の1号からお読みください。
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「K」と呼ばれる店にはクラシック音楽の
コレクションがあり、彼はいつも愛着のある席に座
る。
一年半ほど前に、彼は「K」でけい子と 知り合い、親しくなるが不本意な別れ方をする。帰 り道にある「スナック」でルミに出会い、その部屋 に通うようになる。 「K」でけい子邂逅し、その部屋を訪れると、ルミ について詰問された。 |
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彼はずっとルミに付きまとっていたケンという男に
脅された。けい子の部屋に行くが、引っ越した後だ
った。彼は懸命に彼女への繋がりをすが、何も見つ
からず、疲れ果てて「スナック」へ来ていた。
ルミと別れようとするが、出来ずに抱いてしまう。
彼はルミの肉体については知っている。一方、けい 子の存在は「6の感性」で感じているのだ。 彼は再び「K」で音楽を聴きながら、けい子を待っ ていた。 |
待つことだけを強いられた生活は、耐えられないも
のである。
自分からは何一つ働きかけができないことに加えて
、報われる見込みがほとんどない現状にあって、ほ
んのわずかな可能性にでも賭けてみたかった。
この「K」という店以外に、けい子との接点になり
うる場所は、唯一けい子が元住んでいたアパートで
ある。
彼はいつの間にか、その前に来ていた。
何か手がかりはないかと、入り口のドア越しに内部
を覗き込む。そこには以前と同じ玄関の風景がある
だけだ。
「ちょっと、すみません」
突然背後から1人の男に声を掛けられて、彼は飛び
上がらんばかりに驚愕しながらも、
「どうぞ」
と言って場所を譲った。この男は不審そうに彼の顔
を一瞥したが、すぐに何事もなかったように玄関を
入り、壁に並んだ郵便受けの一つを開けて、何枚か
の封書を取り出すと、さっさと階段の向こうに姿を
消してしまった。
そのすぐ下の23号室の郵便受けに、
「田中」
の名札はなくなっていたが、投函口から何やら郵便
物が覗いている。彼は周囲を見回し、聞き耳を立て
て、人の気配を感じないのを確認してから、そっと
ドアーを開けて忍び入った。
ちょっと郵便受けをのぞき見るだけなのに、凶悪犯
罪を実行しようとしているかのように、緊張で冷や
汗が額から滴り落ちる。
鍵が掛かっていて全容を見ることはできないが、ダ
イレクトメールに混じって、花柄の封筒に手書きで
、
「田中けい子様」
と記された私書が確かに読み取れたのだ。
その懐かしい名前をもう一度確認すると、彼は狂喜
して辺りかまわずドアを開け、勢いよく外に飛び出
していた。それは彼女が遠からずここを訪れる可能
性を、如実に示しているのだ。
できる限りの時間を「K」で過ごすべきか、それと
もあのアパートの周辺で待っているべきか、彼は熟
慮した。
「K」においては、誰憚ることなく、ただひたすら
椅子に座って待っているだけでよかった。持続的な
時間の経過は、擦れ違いという偶然の悪戯を避け得
るだろう。しかしながら、彼がいるかもしれないこ
の店に、けい子があえて来ることは、望みの少ない
ことである。
それに対して、あのアパートの周辺は、彼女の思惑
とは関わりなく、強制的に会える場所である。しか
し、いつ遣って来るか分からない幸運を、決して見
逃すことなく、長時間見張っていられる場所など有
るはずもない。
郵便物を取りに来て、返っていくという道程で、通
りすがりに出会える可能性はほとんど望めないこと
でもある。
この2つの方法しか許されない現実にあって、また
一方が他方を消去できないがゆえに、うまく組み合
わせることが最良の手段であろう。
オーソドックスな場合を想定して、行動計画を立て
た。
まず「K」にけい子が来るとしたら、彼に会うこと
を目的としているはずである。だから最初に出会っ
たとき、2番目に待ち合わせたとき、最後に無言で
別れたとき、など意味のある曜日と時間帯には特に
「K」で過ごそうと思った。
アパートを訪れるとしたら、郵便を持ち帰るだけで
はなく、必ずや隣室の女のところに立ち寄るにちが
いない。その女が在室していて、あまり遅くない時
間。平日は午後7時から8時まで、休日は午後5時
から6時まで、最寄り駅とアパートの間を往復する
ことに決めたのだった。
午後7時、彼はまず23号室の隣の窓明かりを確認
する。
そして五感の全てを駆使して周囲を覗い、アパート
のドアをそっと開ける。頭だけ突っ込んで内部に人
の気配を探ってから、一気に踏み込んで郵便受けに
直行する。
昨日と同じ状態であることを確認す
るや、引き返してまたそっとドアを開いて外へ出て
、単なる一般の通行人と化すのである。
思いもしないほど身近に対面した、見知らぬ通行人
の視線が、自分の今しがたの行動を厳しく咎めだて
ているかのように見えた。
駅からアパートまでの道のりを3往復する。3とい
う数字は、1往復20分を3回繰り返すとちょうど
一時間になる、という計算から導き出した。苦悩と
屈辱に満ちた行動を、形式化された習慣にしようと
したのだ。
この道のりの途中の、ルミのいる「スナック」の存
在が、彼の苦悩に複雑な様相を加えていた。脇道が
いくつかあることはあるが、それではけい子と擦れ
違ってしまう恐れがあるので、この行動自体が無意
味になってしまうのである。
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「6の感性」
の詳しい説明は |
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