自然身体構造研究所 編

第2号:

日大エース那須野選手ピッチング開眼の秘密

大学2年時は現ジャイアンツの木佐貫投手にも投げ勝った好投手、日大エースの那須野投手。腰痛により調子のあがらない彼のピッチングをガラリと変えた膝の使い方の秘密とは・・・?



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ピッチング・膝の送りの重要性

私が部外コーチを務める日本大学野球部は、2004年春季東都大学野球部リーグで優勝を決めました。特に際立ったのがエースの那須野投手です。もともと彼はプロが注目の投手として入学し、2年時は現ジャイアンツの木佐貫投手にも投げ勝った好投手です。

3年生になった2003年の春のシーズンの入替え戦で3連投を経験するなど大変な努力家です。しかし、彼が投げた試合は3時間を越える試合も多く、日大鈴木監督からも「テンポ良く投げるようにしなさい」と注意されていました。2003年秋のシーズンでは、5勝を上げたものの優勝がかかった大一番で連敗したこともショックだったのでしょう。防御率も2点代で本人としては、けして満足いくものではなかったのです。ところが、2004年春のシーズンはなんと5勝無敗、防御率0.39と東都の全チームは全く歯が立ちませんでした。当然テンポも良く1試合2時間を切るような展開の試合が多くなりました。大器晩成と言われ続けた大投手(192cm左投げ)は、とうとう花が咲きました。ところで何が変わったのでしょう?

実は2003年秋のシーズンが終わった後に那須野投手と話す機会がありました。その時に現日本ハムの須永投手の高校時代のフォームと那須野投手のフォームを交互にビデオを使って那須野投手本人に見せました。投球のスムーズさの違いを自覚してもらおうと思いました。2003年秋のシーズンはこの時の那須野投手は終盤、腰を痛めていました。優勝争いには当然影響してしまいました。結果は準優勝。

腰痛の原因とは?

この時になぜ那須野投手は腰を痛めたのか?私が説明しました。「須永投手は本当にスムーズな体重移動が出来ている。那須野君は、膝の送りが出来てなくて体重が軸足の方へ残ってしまう。軸足に残ってしまっている力が、腰に負担になるんだよね。」本人も2つのフォームを見て納得しました。それで本人に練習方法を説明したんです。ピッチャーは、振りかぶって足を上げ、その足を前に踏み出します。そしてその足が地面に接したときに膝が開かないように(膝が割れないよう)に普通は指導されます。那須野投手も前足の膝が開かないように脚全体で踏ん張って投げていました。 ここでちょっと実験して欲しいのですが、中腰になってもらいます。 まず始めは,(1)脚全体を内側に絞り込んで腕を上にあげます。(写真1)  (2) 今度は脚全体を絞り込まずリラックスして腕をあげます。(写真2) 結果は(2)の方が腕が高くあがります。
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(写真1 クリックで拡大できます。)
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(写真2 クリックで拡大できます。)
これで何がわかるかと言いますと、脚がリラックスしていた方が腕のフォロースローが大きく取れ、腕が良く振れることがわかります。ここで疑問が持ち上がります。ピッチングで上げた足を前に踏み出した時にリラックスしていたら膝が開いてしまうのではないか?ところがリラックスしていれば私達の身体は膝が締まってしまう構造になっているんです。これを膝の自動回旋という機能です。人間の膝は地面に接した時に衝撃を吸収しようと曲がります。この時に膝関節のすねの部分が(脛骨と腓骨)が内側に回旋します。

クリックで拡大できます(写真3 クリックで拡大できます。)
そうです、無理に踏ん張って内側に絞り込まなくても自然に内側に絞り込まれる。前足が勝手に壁になるのです。これが膝の自動回旋です。これには股関節 大腿の周辺の筋肉も関係しているのですが、ここでは詳しく説明はしません。膝の回旋で勝手に内側に回旋された膝は今度はその勢いを利用して伸びながら外側に回旋します。これが膝の送りが良い投手の秘密です。良い投手は始めから普通に出来てしまっているのです。ですが、膝の送りの良し悪しは膝の使い方だけですから、誰でも良くなります。ではポイントを説明します。
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膝関節はさらの中にはありません。さらの下のところが膝関節です。よく間違えてる選手が多いので気をつけて下さい。間違えるとそのことで旨く機能しません。(図1 クリックで拡大できます)



クリックで拡大できます そうして上げた足が地面に接した瞬間、膝の力を抜いてください。 力を入れるのではなく力を抜きます。特に膝の裏側を抜きます。(図2 クリックで拡大できます)

友達と遊びで“膝カックン”をイタズラされましたがそのようにします。膝裏には膝窩筋(図2)という膝のインナーマッスルがありまして、この筋肉が働きます。「膝裏を扱く」は古武術の極意として伝えられています。那須野投手もそうだったのですが、膝の送り、下半身の動きが良くなる事によって投球のバランスが変わってきます。この時にグローブの持った腕の使い方が重要なんです。動きの良くなった下半身に対して、フォームが流れるようになります。これをグローブの持った腕を力強く引く事によって全身のバランスを保つのです。用は全身を連動させて動くことが重要なんです。

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